社内研修の主な目的は?目的達成のポイントとプログラム例をご紹介
社員に特定の知識やスキルを身につけてもらうためにも、社内研修を検討している方も多いのではないでしょうか。ただし、自社の状況に合った効果的な社内研修を行うには、明確な目的・ゴールの設定が重要です。
本記事では、社内の課題やニーズに合わせた目的・ゴール設定の方法や、プログラムの例をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.社内研修の目的
- 1.1.企業理念やMVVの浸透
- 1.2.実務におけるスキルの習得
- 1.3.チームビルディング
- 2.【目的別】社内研修のプログラム例
- 3.社内研修の目的・ゴールを適切に設定するには?
- 3.1.課題を明確にする
- 3.2.SMARTの法則を満たしているか確認する
- 4.社内研修の目的・ゴールを達成するためのポイント
- 4.1.社員が自発的に取り組めるプログラムを考える
- 4.2.ARCS(アークス)モデルをもとに仕掛けを考える
- 4.3.効果測定をする
- 4.4.目的にあわせた講師を選ぶ
- 4.5.知識定着にeラーニングを活用する
- 5.まとめ
社内研修の目的
社内研修の目的は、大きく3つに集約されます。
企業理念やMVVの浸透
企業理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は策定するだけにとどまらず、社内に浸透させることが大切です。
MVVは、それぞれ使命・理念・価値観を意味し、企業の存在意義を示すのに使われます。社内に浸透することで従業員のエンゲージメントの向上に結びつき、チームワークを高められることが期待できます。
また、企業への興味関心や愛着心が湧くことで離職率の低下にもつながるでしょう。社内研修で企業理念やMVVを適切に共有できれば、生産性の向上にも寄与します。
実務におけるスキルの習得
日々の実務に関するスキルを向上させて、より活躍できる人材を育成することも社内研修の重要な目的のひとつです。
必要なスキルは職種や役職などによって異なるため、階層や習熟度、テーマなどにより分類をしてから社内研修を実施し、社内全体で効率的なスキル向上を目指すのが一般的です。
チームビルディング
社内全体のパフォーマンスを上げるには、各社員が能力や個性を最大限に発揮して、共通のゴールに向かう組織づくりが必要です。
社内研修は、部署を横断した関係性の構築を促す場です。グループワークやディスカッションなどを通じて社員同士のコミュニケーションが活性化し、相互理解を深められます。
その結果、研修後の社内連携が容易になるため、全社的なチーム力の強化につながり、組織づくりの一助となりえます。
【目的別】社内研修のプログラム例
次に、社内研修の主な3つの目的に応じたプログラム例をご紹介します。企業研修の種類や方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
企業研修とは?対象・内容・方法別の種類と成功のポイントまとめ
1.企業理念を浸透させるためのプログラム例
【対象者】
全社員
【ねらい】
自社の経営理念への理解を深め、個人のビジョンや具体的な行動目標まで落とし込む。
【プログラム】
(1)オリエンテーション
・スケジュールや研修目的の確認
・講師挨拶
(2)企業理念・MVVについて|講義
・役割と重要性
・自社の歴史から読み解く企業理念・MVV
(3)企業理念・MVV実現に向けた個人的な目標を策定|個人ワーク
・個人のビジョン・定量的ゴール・アクションプランを設定
(4)グループディスカッション
(5)発表
・講師からのフィードバック
(6)まとめ
・アンケート
・日報作成についての連絡
2.実務におけるスキルを習得させるためのプログラム例
【対象者】
新入社員から中堅社員
【ねらい】
業務に必要な知識とポイントを理解し、ロールプレイングを通じて顧客の行動変容を促すための実践力を養う。
【プログラム(商談におけるプレゼンテーション)】
(1)オリエンテーション|講義・グループワーク
・講師の挨拶
・グループ内で自己紹介を行い、フィードバックを受ける
(2)セールスプレゼンテーションとは?|講義・個人ワーク
・意義と流れ
・顧客像を絞り、真のニーズを探る
(3)第一印象と話し方|講義・ペアワーク
・身だしなみ・挨拶・表情・姿勢・態度・話すスピードなどのポイント
・わかりやすい話し方
(4)資料作成のコツ|講義・個人ワーク
・基本的な構成方法とポイント
・画像やアニメーションの効果的な使い方
(5)提案書を作成して、ロールプレイング形式でプレゼンテーションを実践
・ほかの受講者や講師からのフィードバック
(6)まとめ
・講師からの講評
・アンケート
3.チームビルディングで組織力を上げるためのプログラム例
【対象者】
主に中堅社員。管理職としてのスキルを身につけたい方
【ねらい】
職場のリーダーに期待される役割を理解し、組織力向上を目指す。
【プログラム】
(1)アイスブレイク|ペアワーク
(2)チームビルディングを理解する|講義・ゲーム形式のワークショップ
・目的と手法
・チームビルディングの5段階
(3)リーダーシップとは?|講義・グループディスカッション
・求められるリーダー像
・役割と必要なスキル
(4)チームづくりに必要なコミュニケーション|講義・ケーススタディ
・自身のコミュニケーションスタイルを振り返る
・リーダーが意識したいコミュニケーションのポイント
・タイプ別部下との関わり方
(5)事例を挙げ、解決策を検討する|グループディスカッション・発表
・講師からのフィードバック
(6)理解度テスト・アンケート
(7)まとめ
社内研修の目的・ゴールを適切に設定するには?
研修の目的やゴール(到達目標)が曖昧だと、研修の効果はあまり発揮されません。次の2点を踏まえた上で、研修を通じて社員に望む変化や与えたい影響などの検討を行い、適切で明確な目的・ゴールを設定しましょう。
課題を明確にする
適切な目的・ゴールを設定するには、会社や社員の抱える課題を明らかにすることが先決です。
その方法として社員や経営層への事前アンケート、ヒアリングが挙げられます。職場の現状や社員が必要なスキルなどを把握できるほか、経営層からは会社が目指す方向性や人物像を聞き取れます。
それをもとに社内ニーズに合った目的・ゴールを設定できれば、社員や会社が抱える課題の解決に役立つ研修を実現しやすくなります。
SMARTの法則を満たしているか確認する
適切な目標・ゴール設定ができているか迷ったときは、目標の有効性を確認できるSMARTの法則に当てはめて考えてみましょう。SMARTの法則は、次の5要素からなります。
・Specific:具体的か
・Measurable:測定可能か
・Achievable:達成可能か
・Related:上位目標との関連性はあるか
・Time-bound:明確な期限が決まっているか
具体的には、「期限や金額などが数値化されているか」、「経営方針に沿った内容か」、「努力や工夫次第で達成可能か」などの観点から目的・ゴールを見直してみると良いでしょう。
この5要素を満たした目標を設定することで社内研修の目的・ゴールが明確になり、効果の高い充実した研修を実施できる可能性が高まります。
社内研修の目的・ゴールを達成するためのポイント
続いて、限られた時間内で目的・ゴールを達成し、成果を出せる研修を行うためのポイントをご紹介します。
社員が自発的に取り組めるプログラムを考える
受け身になりがちな講義だけではなく、グループワークやロールプレイングなども取り入れながら、実践で役立つレベルの知識・スキルの習得を目指しましょう。プログラム策定の手順は、以下のとおりです。
1.設定したゴール・目的の達成に必要な研修要素を厳選する
2.内容に合わせて研修要素を組み立て、講義や各種ワークなどの手法を決定する
3.プログラムの流れが決まったら時間配分を行う
ARCS(アークス)モデルをもとに仕掛けを考える
ARCSモデルは、社員の学習意欲を引き出し、モチベーションや習熟度をアップさせたいときに有用です。「Attention:注意喚起」、「Relevance:関連性」、「Confidence:自信」、「Satisfaction:満足」の4要素からなります。
ARCSモデルをもとにした社内研修で活用できる仕掛けとして、以下のような例が考えられます。
・好奇心を刺激するような研修タイトルにする
・日常業務ですぐ使える内容にする
・ロールプレイングやワークショップなどで成功体験を積ませる
効果測定をする
研修後は効果測定を行い、研修の有効性を測りましょう。受講者の満足度・理解度の把握をはじめ、改善点の発見、研修継続の判断にも役立ちます。具体的には、研修後アンケートや理解度テスト、非受講者との比較などの方法があります。
目的にあわせた講師を選ぶ
講師には、研修内容に関する専門知識を有していることに加え、参加者の立場を理解して寄り添える人物を選びましょう。臨機応変な対応やわかりやすい説明といった講師力も重要です。
社内にノウハウが蓄積されていない研修の場合は、社外講師も検討すると良いでしょう。
知識定着にeラーニングを活用する
研修は豊富な情報を提供できるものの、一方で社員に知識やスキルが定着しないと、目に見えた成果につながりません。
知識の定着には、インプットとアウトプットを3:7の比率で繰り返すのが理想です。研修後に、定期的な復習・練習ができる仕組みを用意しておくことも効果的でしょう。
知識の定着や定期的な復習・練習には、eラーニングが役立ちます。集計やチェックを一括して行えるといった、管理側の負担が軽減される利点もあります。とはいえ、自社で学習教材を作成する技術や手間が必要になることが難点だといえるでしょう。
そこで活用されているのが、eラーニングのプラットフォームです。「イー・コミュニケーションズ」が提供する「SAKU-SAKU Testing」なら貴社のニーズに合わせた学習教材を作成することができます。
動画やスライド教材など幅広い出題形式に対応しており、マニュアル不要で誰でも操作ができる仕様となっているため、担当者の負担も軽減でき、効率良く運用することが可能です。
知識の定着のほか、理解度テストとしても活用できますので、ぜひ一度ご検討ください。
まとめ
効果の高い社内研修を行うためには、社内課題やニーズに基づき、適切で明確な目的・ゴールを設定することが重要です。
ARCSモデルの考え方をベースとするプログラムの工夫をはじめ、効果測定やeラーニングなども活用して、目的達成や成果につながる社内研修を実現させましょう。