企業がリスキリングに取り組むメリットとは?導入手順やポイントを解説
近年はリスキリングが注目されており、導入している企業が増えています。
人材の再教育に関する施策を実施することは、作業効率の向上や新事業の立ち上げにつながるなど多くのメリットがあります。
そこでこちらの記事では、どのように導入していけば良いか、人事・教育担当者向けに効果的な実施方法を解説致します。
目次[非表示]
- 1.リスキリングとは
- 2.リスキリングが注目されている理由
- 2.1.理由1 DXに特化した人材を確保するため
- 2.2.理由2 ダボス会議での宣言にてリスキリングの必要性が発信されたため
- 2.3.理由3 経済産業省・厚生労働省がリスキリングに関する施策を推し進めているため
- 3.企業がリスキリングを導入するメリットとデメリット
- 3.1.メリット①業務の効率化
- 3.2.メリット②新しいアイデアや事業が生まれる
- 3.3.メリット③採用や育成のコストの抑制
- 3.4.デメリット①手間と時間とコストがかかる
- 3.5.デメリット②従業員の転職リスク
- 4.企業にリスキリングを導入・実施する流れ
- 4.1.ステップ1 自社の課題をあげ、習得すべきスキルを見える化する
- 4.2.ステップ2 実施方法や具体的な教育内容を検討する
- 4.3.ステップ3 施策を実施する
- 4.4.ステップ4 習得したスキルを業務でいかす場をつくる
- 4.5.ステップ5 振り返り・改善
- 5.リスキリング導入・実施のポイント
- 5.1.リスキリングの重要性を伝える
- 5.2.取り組みやすい環境・仕組みをつくる
- 5.3.アウトソーシングを活用する
- 6.企業で行うリスキリングにSAKU-SAKU Testingをご活用ください
リスキリングとは
リスキリングとは、DX化が進む上で新しく生まれる職業や、大幅に変化する働き方に適応するため働く上で必要となる知識、スキルを社員に取得してもらうことです。
経済産業省では、下記のように定義されています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」
出典:「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流」(経済産業省)
リスキリングが注目されている理由
株式会社月間総務の2023年度調査によると、リスキリングの認知度は前年比で約3割増加しています。本項では、リスキリングが企業に注目され始めている理由についてご紹介します。
出典:「リスキリングについて8割が「知っている」と回答。実施企業は増えるも、一人当たり予算は減少傾向」(月間総務オンライン)
https://www.g-soumu.com/articles/202306reskillingquestionnaire#header2
理由1 DXに特化した人材を確保するため
DX推進が盛んな現在、企業ではデジタルスキルに特化したDX人材を確保する必要性が高まっています。
しかし、デジタル人材の不足は深刻化しており、採用コストを抑えて確保することは困難でしょう。
そこで、リスキリングによって既存社員にデジタルスキルを習得させることで、デジタルリテラシーの底上げや、自社内でDX人材を確保することが可能です。
理由2 ダボス会議での宣言にてリスキリングの必要性が発信されたため
スイス・ダボスにて、世界経済フォーラムの年次総会であるダボス会議が開かれました。
総会2日目に、社会と仕事の未来に関連したリスキリング革命が発表され、「2030年までに10億人のリスキルも目指す」と提唱されています。
これにより、各国政府が人材育成に関する政策を立ち上げたり、企業が教育プログラムを組んだりと、リスキリングが全世界で推し進められるようになりました。
世界的にも、人材の再教育の必要性やそのための具体的な取り組みが必要とされていることが分かります。
理由3 経済産業省・厚生労働省がリスキリングに関する施策を推し進めているため
国外や企業だけでなく、日本として国を挙げて、リスキリングを推し進めています。
現に、岸田首相は2022年10月の所信表明演説にて「リスキリングに対する公的支援として5年間で1兆円を投入」と発言しています。
また、2022年10月28日に閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」で「官民連携でのリスキリングと成長分野への投資推進」「キャリアアップのための転職支援として、リスキリングから転職までを一気通貫で支援する制度の新設」「労働者のリスキリングを支援する企業への助成率引き上げ」などの方針も示されています。
企業がリスキリングを導入するメリットとデメリット
ここでは、リスキング導入によって企業が得られるメリット、デメリットについてそれぞれみていきます。
メリット①業務の効率化
リスキングにより得たスキル、知識をDX戦略に活かすことで「不要な作業工程の省略」「手動から自動化」など作業効率の向上に繋がります。これにより、原価や人件費などのコスト削減も可能です。
また、時間の節約になるため「残業の減少」「ライフワークバランスの充実」などの二次的な恩恵も期待できます。
メリット②新しいアイデアや事業が生まれる
社員がマネジメントやロジカルシンキング、最先端技術などの学びの機会を得ることで、今まで考えもしなかった革新的かつ斬新的なアイデアが生まれる可能性が高まります。
その結果、新たな事業展開や新規事業の立ち上げもしやすくなります。
メリット③採用や育成のコストの抑制
DXに特化した人材の採用は、専門性の高さゆえ、一般的な採用よりコストが高くなりがちです。
また、前職での経験やスキルが自社でも活かせるかどうかは判断が難しいという懸念もあります。
しかし、リスキングにより既存社員を育成しDXスキルを習得させることで、そのようなリスクを回避でき、結果的に採用のコストまで抑えられます。
その上、既存社員であれば会社の理念や方針を理解しているため、理念浸透の教育コストも抑えられます。
デメリット①手間と時間とコストがかかる
社内教育のための教材購入、スクールや講師の確保など導入までには一定額の予算が必要です。
また、勤務時間内に教育を行う場合、金銭的な面だけではなく時間的なコストも考える必要があります。
このようなコスト面のデメリットは、メリット③であげた採用や育成コストの抑制により、最終的に抑えることができます。予算計画を立てて総合的に判断することで解決につながるでしょう。
デメリット②従業員の転職リスク
DXを専門とする人材の需要の高まりや市場価値の高さから、既存社員が他社へ転職するリスクが高まります。
企業側は社員へのインセンティブなどの待遇に関しても検討しておくべきだといえます。
企業にリスキリングを導入・実施する流れ
実際に企業がリスキリングを導入する場合、以下の5ステップで進めてみましょう。
- ステップ1 自社の課題をあげ、リスキリングで習得すべきスキルを見える化する
- ステップ2 実施方法や具体的な内容を検討する
- ステップ3 実施する
- ステップ4 習得したスキルを業務でいかす場をつくる
- ステップ5 振り返り・改善
ステップ1 自社の課題をあげ、習得すべきスキルを見える化する
まずは自社の直面している経営課題を明確にし、分析した上で必要となるスキルを選定します。
その上で従業員それぞれに足りないスキルを明確にしましょう。
ステップ2 実施方法や具体的な教育内容を検討する
先ほど選定した必要となるスキルを習得するためにどのような教育プログラムにすれば良いかを検討していきます。
実施方法の例として、外部のセミナーを受講する、eラーニングの活用などが挙げられます。
実施時期については、リスキリング実施の緊急度、業務の忙しさなどを考慮して検討することが大切です。
対象者を管理職にする場合や、フレックスタイム制を取り入れている場合などは、対面で一定の時間を確保することが難しいでしょう。
実施時期の決定が困難であれば、eラーニングの活用がおすすめです。
パソコンやタブレット、スマートフォンなどで、時間や場所に縛られず受講してもらうことが可能です。
ステップ3 施策を実施する
具体的な実施方法や時期が決まったら、社員に研修を実施してもらいます。
ただし、今までになかった取り組みを実施する場合は社員が負担に感じるケースも少なくありません。強制的にやらせるのではなく、本人の前向きな気持ちを引き出すことが鍵となります。
モチベーション維持のためには、受講者自身の受講履歴、進捗の見える化をすることが効果的です。
ステップ4 習得したスキルを業務でいかす場をつくる
リスキリングは再教育を実施するのみで終わらせてはいけません。
習得したスキルを実務でいかせる場を作ることが大切です。実際に行っている業務の中で実践可能な場合は積極的に活用しましょう。業務フローや組織体制など仕組み改善の提案を依頼したり、導入可能なITツールの選定をしてもらったりと、本人に任せるのではなく、企業側で活用の機会を設けることが重要です。
また、スキルを活かせる新しいプロジェクトを始めることも良いでしょう。
ステップ5 振り返り・改善
実践に加えて、フィードバックやモニタリングの機会を設けることも大切です。
また実施前と実施後を比較し、どれだけスキルアップできたか確認することで従業員のモチベーション向上にもつながり、今後さらに成長できるでしょう。
リスキリング導入・実施のポイント
リスキングの導入、実施にあたっては、重要性を伝え、アウトソーシングを活用することがポイントになります。
では、具体的な内容をみていきましょう。
リスキリングの重要性を伝える
リスキリングを成功させるためには、全従業員の理解を得ることが鍵となります。
従業員の中には「今の仕事に関係ない」ただでさえ忙しいのに負担が増えるのでは?」待遇は変わるのだろうか?」など、自分にとってのメリットが感じられず、モチベーションが上がらないため、抵抗のある方もいるかもしれません。
まずは、個々にコミュニケーションを取り、どのようなメリット、重要性があるのか説明した上で進めることがポイントです。
取り組みやすい環境・仕組みをつくる
社員が就業時間内で受講することの容認や継続的に取り組めるように、インセンティブを設けモチベーションの維持を図りましょう。
この際、経営層も含めた施策への理解が必要です。教育対象以外の社員にもリスキリングの必要性をきちんと説明することで、社員が取り組みやすい環境をつくることができます。
アウトソーシングを活用する
リスキリングを取り入れる際、自社で1から環境構築することは、時間やコスト面からみても得策とは言えません。
アウトソーシングすることで大幅に負担を軽減することができます。
おすすめは、外部のeラーニングのプラットフォーム(LMS)です。全体的の進捗管理が簡単にできるため、効果分析の効率化や担当者の負担軽減が可能です。また、社員の学習履歴や進捗などを見える化できる機能があれば、モチベーション維持にもつながるでしょう。
企業で行うリスキリングにSAKU-SAKU Testingをご活用ください
リスキリングにeラーニングを活用したいとお考えの企業様は、eラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」をご検討くださいませ。
SAKU-SAKU Testingは、リスキリングに便利な機能が備わっているeラーニングプラットフォームです。管理者の使いやすさを追求し、直感的な操作性で簡単にコンテンツの搭載やテストの作成が可能です。また、受講者の受講状況やテスト結果をリアルタイムで管理できます。
また、リスキリングに最適なコンテンツもご用意しています。ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。