司法試験がパソコン受験へ 試験はどう変わる?対策や注意点を紹介
司法試験は2026年実施の試験から紙での筆記試験からパソコンでの受験になると発表されました。
そこでこの記事では、司法試験に関わる専門学校・予備校などの事務局の方に向けて、司法試験CBT化(パソコン受験)に関して現段階でわかっている内容をまとめ、現在紙試験で行っている模試等をCBT化する場合の導入方法やポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.2026年司法試験CBT化(パソコン受験)へ向けた現状のまとめ
- 1.1.2023年4月1日「司法試験等デジタル化推進企画係」を設立
- 1.2.2023年7月段階ではCBT化に向けた調査を実施中
- 1.3.2025年度から出願手続きのオンライン化・手数料のキャッシュレス化を予定
- 1.4.試験会場にパソコンを用意する方式を想定
- 2.司法試験のCBT化(パソコン受験)による課題
- 2.1.タイピング速度によって解答時間の差が生まれる
- 2.2.答案構成がおざなりになる
- 3.司法試験のCBT化(パソコン受験)への対策
- 3.1.タイピング力の強化
- 3.2.答案構成のスキルを磨く
- 4.司法試験の模擬試験をCBT化(パソコン受験)する際の手順・注意点
- 5.司法試験の模擬試験のCBT化ならイー・コミュニケーションズにご相談ください
2026年司法試験CBT化(パソコン受験)へ向けた現状のまとめ
現時点(2023年9月)でわかっている司法試験CBT化(パソコン受験)へ向けた内容を解説します。
2023年4月1日「司法試験等デジタル化推進企画係」を設立
法務省では、2023年4月1日に省内に「司法試験等デジタル化推進企画係」を設立しました。2026年の司法試験のCBT化開始を目標に準備を進めています。
出典:日経クロステック(2023/7/4)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08188/
2023年7月段階ではCBT化に向けた調査を実施中
2023年7月段階では、司法試験CBT化の具体化に向けた調査段階にあり、CBTに関する調査を開始しています。
出典:日経クロステック(2023/7/4)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08188/
2025年度から出願手続きのオンライン化・手数料のキャッシュレス化を予定
齋藤法務大臣によると、受験者の利便性の向上と関係者の負担軽減のため、2025年度から出願手続きのオンライン化と手数料のキャッシュレス化を目指しているようです。
出典:NHK(2023/6/30)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230630/k10014114011000.html
試験会場にパソコンを用意する方式を想定
2026年から実施予定のパソコン受験での司法試験は、試験会場に用意したパソコンを操作する方式(会場型コンピューター試験)を想定しており、自宅等では受験できない予定となっています。
また、インターネットには接続せず、法務省が開発したシステム内で完結させ、問題流出を防ぐ予定です。
出典:産経新聞(2023/6/26)
https://www.sankei.com/article/20230626-OVCLWDFGIROZ5CACMN3UF7KSOU/
司法試験のCBT化(パソコン受験)による課題
現状の司法試験は3日間の論文式試験と1日の短答式試験となっており、論文式試験では3日間で約4万字を記述する必要があります。CBT化(パソコン受験)により手書きの負担から解放されますが、CBT化による課題もありそうです。現状考えられる課題についてまとめます。
タイピング速度によって解答時間の差が生まれる
現状の司法試験の答案用紙はA4で横書き23行です。1枚びっしりうめると650字~700字くらいの文字量です。
法務省「令和4年(2022年)司法試験 論文式試験答案用紙」
https://www.moj.go.jp/content/001371994.pdf
必須科目は1問について表紙を除いて8枚、選択科目は1問について4枚が配布されます。必須科目は平均5枚以上を書くとされています。一般的な社会人の1分間の平均タイピング文字数は60文字で、5枚分の3500文字をタイピングすると約58分かかることになるでしょう。
現状、解答時間は1問120分となっていますので、タイピングが速ければ速いほど、記述時間を短縮し、答案構成に時間を使うことができます。
このようにタイピングの速さによって解答時間に差が生まれますので、タイピングが速い人が有利になり、遅い人には不利になるでしょう。
答案構成がおざなりになる
パソコンでの受験では、文章を書いたり消したりする作業が簡単にできるため、答案構成をおざなりにし、とりあえず書き始めてしまうことが考えられます。
パソコンでの受験になっても、全体の構成を考えてから書き始めたほうが、理論構成がしっかりした答案を書くことができるので、答案構成は必要です。
司法試験のCBT化(パソコン受験)への対策
司法試験のCBT化に関して、まだ具体的なことはわかっていませんが、現時点でできる対策について解説します。
タイピング力の強化
CBT化により、タイピング力によって解答時間に差が生まれることがわかりました。今すぐにできる対策として、タイピング力の強化が考えられます。
速く正確に打つことを心がけ、タイピングで不利にならないように備えることが大切です。
答案構成のスキルを磨く
答案構成は問題文を読み、論点を考え、解答に書くべき内容を洗い出し、答案の構成を決定する、答案の設計図を作るような作業です。現状の紙の試験で行っていることですが、CBT化する際にも問題形式が大きく変わらない限り、答案構成が必要になります。
そのため、答案構成のスキルを磨くことで、論理立ったしっかりとした構成で記述をすることができます。
司法試験の模擬試験をCBT化(パソコン受験)する際の手順・注意点
司法試験がCBT化すると、現状行っている模擬試験もCBT化したほうがいいのではないかとお考えの専門学校・予備校などの事務局の方もおられると思います。
そこで、ここでは紙試験で行っている模擬試験をCBT化する際の手順をご紹介します。
今回はとくに、CBTサービスを提供している会社に依頼して導入する方法について解説します。依頼する会社によって手順が異なる場合がありますので、実際に導入時には導入手順をしっかり把握してください。
手順としては以下の4つステップで進めていきます。
- ヒアリング(自社-依頼会社)
- 要件定義(依頼会社)
- 設計・開発(依頼会社)
- 運用開始(自社)
それぞれの手順についてみていきましょう。
①ヒアリング
CBT化するにあたって、まずは、依頼会社が自社の現状について詳細のヒアリング調査を行います。現状の紙試験で抱えている課題はもちろん、司法試験CBT化に向けて必要な項目の洗い出しをするなど、CBT化に関わるさまざまな事項について依頼会社と細かくすりあわせを行っていくフェーズです。
②要件定義
ヒアリングが終わったら、試験仕様に関する要件定義を依頼会社が行います。現状実施している試験をベースとして、具体的な内容を詰めていくフェーズです。
決めるべき内容としては、具体的に以下のようなものがあります。
・問題数
・試験時間
・出題形式(〇×選択式/複数選択式/記述式など )
・問題の難易度・分類
・合格点
③設計・開発
要件定義に則り、依頼会社が試験問題を規定のフォーマットに落とし込んで設計・開発を行います。受け入れの際には、CBTシステムとしてニーズをしっかり満たしているかどうかを確認する必要があります。
題の内容や妥当性はもちろん、フォーマットや出題文の表現、類似問題はないか、難易度が極端に異なる問題はないかなどを細かく確認しましょう。
④運用開始
完成したCBTに問題がなければ、実際に運用開始となります。リリース後も、依頼会社のカスタマーサポートなどと連携して運用していく必要があります。
運用を開始してから重視しなければならないポイントが、成績と受験者情報の管理です。受験者ごとの合否はもちろん、受験者の属性や点数ごとのサマリーの抽出、問題ごとの正答率や解答時間なども確認ができると、傾向と対策の分析に役立ちます。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
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