
健康経営優良法人のメリットとは?中小企業の人事担当者向けにわかりやすく解説
「健康経営を導入すると、どんな変化があるのだろう?」
そんな疑問をもっていませんか?
経営層から「健康経営優良法人の認定を検討してほしい」と言われたものの、具体的なメリットがわからず戸惑っている方も多いかもしれません。
本記事では、健康経営優良法人の認定によるメリットを、成功事例とともにわかりやすく解説します。
認定取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.なぜ今、健康経営優良法人が注目されているのか?
- 2.健康経営優良法人の認定を受ける5つのメリット
- 2.1.メリット① 人材を確保できる
- 2.2.メリット② 企業イメージが上がる
- 2.3.メリット③ 助成金を活用できる
- 2.4.メリット④ 金融機関から優遇される
- 2.5.メリット⑤ 従業員の健康増進・生産性向上
- 3.健康経営優良法人の認定を受ける3つのデメリット
- 3.1.デメリット① すぐに効果が実感しづらい
- 3.2.デメリット② 社内への浸透が難しい場合がある
- 3.3.デメリット③コストがかかる
- 4.健康経営優良法人の認定基準【5つの要件】
- 4.1.経営理念
- 4.2.組織体制
- 4.3.制度・施策実行
- 4.4.評価・改善
- 4.5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)
- 5.「健康経営優良法人」認定を意味ないものにしないための3つの考え方
- 5.1.① 健康経営優良法人をゴールにしない
- 5.2.② 小さな成功を積み上げる
- 5.3.③ 健康経営と経営戦略をリンクさせる
- 6.まとめ
- 7.社員教育に「SAKU-SAKU Testing」がおすすめ
なぜ今、健康経営優良法人が注目されているのか?
近年、多くの企業が「健康経営」に取り組むようになっています。
健康経営とは企業が従業員の健康を重視し、働きやすい環境を整えることで、生産性の向上や業績アップにつなげる考え方のことです。
この動きを後押しするため、経済産業省は2017年度に「健康経営優良法人認定制度」をスタートしました。
2020年以降、若手労働者の健康意識が高まったことに加え、新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変化しました。こうした背景から、 従業員の健康を守ることが企業の成長にも直結するという認識が広がっています。
健康経営優良法人制度では、企業の規模に応じて 「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」 に分けられ、それぞれの基準で認定されます。特に優れた企業には、「ホワイト500」(大規模法人の上位500社)や「ブライト500」(中小規模法人の上位500社) という称号が与えられます。
2024年度の認定企業数は、中小規模法人で16,733法人、大規模法人で2,988法人に達しました。企業が健康経営に力を入れることで従業員や求職者、取引先、金融機関などからの評価が高まり、社会的な信用を得られる仕組みが整ってきています。
今後、健康経営は企業にとって欠かせない取り組みの一つになっていくはずです。
健康経営優良法人の認定を受ける5つのメリット
では、健康経営優良法人に認定されると、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか?ここからは経営層にも提案しやすい具体的な5つのメリットをわかりやすく解説します。
メリット① 人材を確保できる
近年、求職者は給与や福利厚生だけでなく「健康に配慮した職場環境」 を重視する傾向があり、特に若手の採用市場では、ワークライフバランスや働きやすさが企業選びの重要なポイントになっています。
健康経営優良法人に認定されることで「従業員の健康を大切にする企業」というイメージを確立でき、採用活動でのアピールポイントになります。また既存の従業員の満足度が向上して離職防止にもつながるため、長期的な人材確保にも有利となります。
メリット② 企業イメージが上がる
健康経営優良法人に認定されると、経済産業省のホームページに社名が掲載され、企業の信頼度が向上します。また認定企業には専用のロゴマークが付与され、ホームページや採用パンフレット、名刺などに活用でき、顧客や取引先、求職者に対して好印象を与えやすくなります(非上場企業でも認定を受けることができます)。
メリット③ 助成金を活用できる
健康経営優良法人に認定されると、自治体や金融機関からの融資優遇、税制減免、表彰などのインセンティブを受けられる可能性があります。こうした支援を提供する機関は年々増えており、企業にとっては事業拡大のための有利な手段となります。
例えば、以下のような助成金制度があります。
働き方改革推進支援助成金
業務改善助成金
受動喫煙防止対策助成金
これらの制度を活用することで、コストを抑えながら健康経営の取り組みを進めることが可能になります。
メリット④ 金融機関から優遇される
健康経営優良法人に認定されると、一部の金融機関で融資時の金利引き下げなどの優遇措置を受けられる可能性があります。さらに一部の金融機関では、認定企業の社員が個人ローンを組む際に金利の優遇を受けられるケースもあり、企業だけでなく従業員にとってもメリットがある制度となっています。
メリット⑤ 従業員の健康増進・生産性向上
健康経営優良法人に認定されるには、例えば、保健指導、感染症予防対策、ワークライフバランスの推進、喫煙対策 など社員の健康保持・増進のための具体的な施策を実施する必要があります。これらの取り組みが進めば従業員の体調管理が改善され、業務パフォーマンスが向上します。働きやすい環境が整うことで、従業員の満足度が向上し、離職率の低下や長期定着にもつながっていくはずです。
健康経営優良法人の認定を受ける3つのデメリット
メリットがあれば当然デメリットも存在します。ここからは健康経営優良法人の認定を受けるデメリットを解説します。
デメリット① すぐに効果が実感しづらい
健康経営の取り組みは、短期間の効果が見えにくいものです。例えば欠勤率が下がっても、それが健康経営の影響かどうかはわかりません。認定を受けるには施策の導入が重視されるため、実際の健康改善成果が問われるわけではありません。そのため、認定を取得しても社内環境が大きく変わらない企業もあり「意味がない」と指摘されるケースもあります。
デメリット② 社内への浸透が難しい場合がある
認定を受けるには、社内での健康施策の展開と従業員の協力が欠かせません。ただ施策の内容によっては従業員の受け止め方が分かれ、社内への浸透が難しい場合があります。例えば、健康診断の義務化や社内禁煙の推奨は健康意識の高い社員には歓迎される一方、そうでない社員にはストレスや不満を生む可能性もあります。そうならないためには、健康経営の目的を丁寧に伝えることが大切です。
デメリット③コストがかかる
認定を受けるには健康診断の充実、メンタルヘルスケアの導入、運動プログラムの提供など、健康管理や職場環境の改善に向けた具体的な取り組みが必要になります。施策の実施には当然コストがかかります。また認定申請料として大規模法人は88,000円(税込)、中小規模法人は16,500円(税込) の費用も必要になります。
健康経営優良法人の認定基準【5つの要件】
健康経営優良法人の認定を受けるには、5つの要件を満たす必要があります。
これらは「経営理念(経営者の自覚)」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」に分類され、必須項目と選択項目 から構成されています。
経営理念
経営者が健康経営の重要性を理解し、推進を決定すること。
組織体制
健康管理を担う担当者を配置し、社内での推進体制を整える。
制度・施策実行
健康診断の受診率向上、ストレスチェックの実施、運動促進など、健康増進のための施策を実施する。
評価・改善
施策の効果を検証し、PDCAサイクルを回して継続的に改善する。
法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)
労働関連法規を遵守し、リスク対策を適切に講じる。
「健康経営優良法人」認定を意味ないものにしないための3つの考え方
健康経営優良法人の認定を受けても「結局、意味がなかった」とならないためにはどうすればいいのでしょうか?
認定を形だけのものにせず、実際に企業の成長につなげるための3つのポイントを解説します。
① 健康経営優良法人をゴールにしない
認定を受けることが目的になり、その後の取り組みが疎かになるケースがあります。しかし、大切なのは認定後も継続的に健康経営を実践し、職場環境を改善していくことです。認定取得はゴールではなく、企業が健康経営に本気で取り組むスタートラインと考えましょう。
② 小さな成功を積み上げる
「良い目標を掲げたい」 という思いから、大きな数値目標を設定してしまうことがあります。しかし無理のある目標は達成が難しく、最初は意欲的だった企業も次第にモチベーションが低下し、施策が形だけのものになることもあります。大切なことは「小さな成功を積み重ね、着実に変化を生み出すこと」です。
③ 健康経営と経営戦略をリンクさせる
成功への近道は、健康経営を経営戦略と結びつけ、会社の方針の一部として位置づけることです。経営戦略の優先順位が高い施策には企業も積極的に取り組みますが、優先度が低いと後回しになりがちです。「従業員の健康=生産性向上=業績アップ」 という視点を持って環境を整えることで、健康経営が自然と企業の文化として定着していくはずです。
まとめ
健康経営優良法人の認定を受けることで、人材確保、企業イメージ向上、取引先や金融機関からの信頼強化など、中小企業でも大きなメリットを得られます。
重要なことは認定をゴールとせず、健康経営を企業の成長戦略の一環として継続すること です。
まずはできることから始め、従業員の健康と企業の発展を両立させる取り組みを進めていきましょう。
社員教育に「SAKU-SAKU Testing」がおすすめ
イー・コミュニケーションズのeラーニングシステム「SAKU-SAKU Testing」を活用した社員教育がおすすめです。
「SAKU-SAKU Testing」は自社で作成した教材を搭載して利用できるので、自社独自の社員教育を行うためのプラットフォームとして活用することが可能です。
また、自社コンテンツを搭載するeラーニングプラットフォームとしての利用に加え、あらかじめ社員教育に必要な教材がパッケージ化されているものなど、さまざまなニーズに対応したeラーニングのご提案が可能です。
ご興味がおありの場合はお気軽にお問い合わせください。