社員教育成功への道のりと実際の事例に学ぶ
社員教育は、組織の成長と発展に欠かせない要素です。社員教育を通じて社員の能力や意識が高まると、組織力は大幅に飛躍します。
効果的な教育プログラムを通じて、社員は必要なスキルや知識を獲得し、より高いパフォーマンスを発揮することができます。社員教育には対面研修やeラーニングなど様々な種類があるため、目的に合わせて選ぶことが必要です。
本記事では、社員教育の目的と種類、教育の手段と実際に直面する課題、成功事例についてご紹介し、成功する社員教育のポイントを探っていきます。
目次[非表示]
社員教育の目的と種類
目的
社員教育の目的は多岐にわたります。
まず、組織のビジョンや価値観、業務上の基本的なルールや手順の浸透です。
特定の社員への教育では、昇進や異動などの機会に必要なスキルや知識を提供することが目的です。階層別や管理職研修が例として挙げられます。研修だけではなく、昇進昇格の社内試験を設けている会社もあります。
さらに、自発的に取り組む教育では、社員の成長意欲を引き出し、自己啓発やキャリアアップを促進することが狙いです。
また社員教育はやりっ放しではなく、研修効果を明確にするための評価や測定を行うことが重要です。研修後の成果や学習効果を定量的に評価し、改善点を把握することで、教育の効果を高めることができます。同時に教育実施記録の重要性も忘れてはなりません。社員の教育実施履歴やスキルセットを適切に管理することで、組織全体のタレントマネジメントにも役立てることができます。上場企業では、人的資本経営における開示義務の履行にも役立ちます。
種類
社員教育の種類には、以下のようなものがあります。
階層別教育
役職ごとに必要なスキルや知識を習得するための教育です。管理職向けのリーダーシップやコーチングの研修、コミュニケーション能力の向上などが含まれます。内定者・新入社員教育といったビジネス基礎知識の研修も階層別教育の一部です。
コンプライアンス等MUST教育
全社員が守らなければならない法令や企業のルールを遵守するための理解と浸透を行う教育です。個人情報保護を含む情報セキュリティ対策の教育や倫理規定の徹底もMUST教育に含まれます。ハラスメント教育や多様性の理解も重要です。
自己啓発
社員自身が自己成長を目指すための教育です。プレゼンテーション技術や時間管理、語学等、キャリアやライフスキルの向上が目的です。
リスキリング
技術の進化や業務の変化に対応するための教育です。新しいツールやシステムの使い方、デジタルスキルの向上などが含まれます。
2020年のダボス会議において、「リスキリング革命」が発表されたこと、岸田総理の所信表明演説で「リスキリングに今後5年間で1兆円投入」という発言があり、新語・流行語大賞にもノミネートされたことで注目が集まっています。
社員教育の手段と課題
手段
社員教育にはさまざまな手段が存在します。
例えば、次の方法が挙げられます。
- 対面研修
- オンライン研修
- eラーニング
対面研修は、従業員同士の対話や実践的な学習を促進するため効果的です。チームビルディングやロールプレイを目的とした教育に最適でしょう。
一方、オンライン研修やeラーニングは、時間や場所の制約を受けずに学習が可能であり、社員の自己学習支援に適しています。MUST教育もeラーニングや確認テストを行うことにより確実に全社員に浸透させることが可能になり記録も残ります。昇進・昇格を判断する社内試験も最近ではオンラインで受験することが可能です。
社員教育の目的や内容によって最適な手段を選択し、効果的な教育プログラムを構築しましょう。
実際に直面する課題
社員教育を実施する上で直面する課題の一つに、業務時間との調整があります。社員が日常業務に費やす時間と、教育活動に充てる時間のバランスを取ることが重要です。社員を一同に集める対面研修は教育目的によっては高い効果が期待できますが、社員の時間的負担が大きくなります。参加日程を全員で調整し、研修場所への行き帰りの移動時間も考えなければなりません。逆に、オンライン研修やeラーニングは比較的、時間に対する負担感は少なくなります。
また、オンライン研修やeラーニング、オンラインテストの場合には、「本当に本人が受けているのか?」といった不正受講・受験という問題が発生する可能性があります。この課題に対処するためには、システムを使った不正防止対策が効果的です。最近では、パソコンのWebカメラを用いて社員がeラーニングやオンラインテストを受講・受験している様子をリモートで監視するシステムも登場しています。
事例に基づく成功のポイント
社員教育における課題をふまえ、ここでは社員研修を成功させた3社の事例をご紹介します。
「株式会社ベクトル様」:内定者研修にeラーニングを活用した事例
イー・コミュニケーションズでは、社員教育において成功を収めたいくつかの事例があり、「SAKU-SAKU Testing」と呼ばれるeラーニングシステムと「MASTER CBT PLUS」というオンラインテストシステム、さらに「Remote Testing」という不正防止のためのリモートAI監視システムを組み合わせることで効果的・効率的な社員教育を実現しています。
例えば、「株式会社ベクトル様」では、内定者教育と新入社員教育に「SAKU-SAKU Testing」を導入し、入社前の内定者時代からスマートフォンでビジネスの基礎知識を学べるようにしています。入社後もそのまま新入社員にとって必要な内容をいつでも見返すことができるため、一度学んだ知識を思い出しながら定着させることにも役立っています。
「協和キリン株式会社様」:社内試験を紙からオンラインテストに変更した事例
「協和キリン株式会社様」では「MASTER CBT PLUS」により社内試験をオンライン形式で実施しています。MR(医薬情報担当者)の知識レベルの把握を目的とし、製品の最新情報に加え科学的・医学的な情報を有しているかをテストで測っています。
元々紙で行っていた試験をオンラインテストに切り替えたことで社員の時間的負担が少なくなったことと、試験を作成する事務局の負担も格段に減少し試験問題の作成でも継続的に問題の質を高めていく取り組みが行えるようになりました。
「国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)様」:リモート監視不正対策を行った事例
最後は、ビジネス英語検定で有名なTOEIC®テストに「Remote Testing」が導入された事例です。日本でTOEIC®を実施する「国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)様」は、企業・学校など団体向けに提供しているTOEIC® IPテスト(オンライン)において、AIを活用した試験監視サービスを2021年より開始しています。
テレワークの推進、オンライン授業の導入により団体内での研修やテスト実施方法が多様化する中、場所や時間を選ばずに実施できるIPテスト(オンライン)の利用が増えてきました。
一方で、オンラインでの試験実施は、「本人確認の正確性向上」や「不正行為の防止」が課題です。
そこに「Remote Testing」を使用することで、オンラインテストの利便性を維持しながら、テスト・セキュリティをさらに向上させることが可能になりました。
このような成功事例から得られるポイントは、以下の通りです。
- 社員教育の目的に応じた手法を採用する
- デジタルツールを活用する
- オンラインと対面を使い分けた学習スタイルを提供する
自社で成果を上げる社員教育を実施したいと考えている担当者の方は、この記事でご紹介した成功事例やポイントをもとに、最適な社員教育プログラムを考えてみてはいかがでしょうか。