アダプティブラーニングとは?メリット・デメリットや活用事例をご紹介
アダプティブラーニングは「適応型学習」と呼ばれる手法で、学習データに応じた出題ができたり、学習進捗を簡単に把握できたりなど、教育効果を高められるメリットがあります。社員教育に取り入れたいと考えている採用・人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
しかし、アダプティブラーニングは主に学校教育の分野に適した手法ですので、社員教育に取り入れる際は注意しましょう。
本記事では、アダプティブラーニングのメリット・デメリット、活用事例についてご紹介します。また、アダプティブラーニングが社員教育には向かない理由や効果的な手法についても解説していますので、参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.アダプティブラーニングとは?
- 2.アダプティブラーニングを取り入れる5つのメリット
- 2.1.1.いつでも好きなタイミングで学べる
- 2.2.2.個々の教材・出題内容を最適化できる
- 2.3.3.学習状況を見える化できる
- 2.4.4.指導品質を均一化できる
- 2.5.5.膨大な学習データを活用した教育施策を考えられる
- 3.アダプティブラーニングの4つのデメリット
- 3.1.1.受講者のモチベーションを継続させるのが難しい
- 3.2.2.実践的なスキル習得は難しい
- 3.3.3.ICT環境の構築にコストと時間がかかる
- 3.4.4.社員教育には向かない
- 4.アダプティブラーニングの活用事例
- 4.1.人工知能型教材
- 4.2.AI活用ラーニングシステム
- 5.まとめ
アダプティブラーニングとは?
アダプティブラーニング(Adaptive Learning)は、受講者の能力やニーズに合わせて学習を進める方法で、適応型学習とも呼ばれます。テクノロジーの進化によって教育分野におけるICTの活用が進み、2019年に米国陸軍の教育に取り入れられたのが始まりです。
従来の学習スタイルは、カリキュラムに従ってすべての受講者に同じ教材、同じ教育を提供するのが一般的でした。教育する側としては、最小限のリソースで教育を提供できるメリットがあります。しかし、受講者それぞれで理解度や習熟度は異なることから、同じスピードで教育するとついていけない人も出てくる可能性があります。
アダプティブラーニングは受講者一人ひとりの習熟度や理解度に合わせたカリキュラムを提供できるため、理解度や習熟度の差を解決できます。
アダプティブラーニングを取り入れる5つのメリット
まずは、教育手法にアダプティブラーニングを導入するメリットを5つご紹介します。
1.いつでも好きなタイミングで学べる
アダプティブラーニングを取り入れた学習プラットフォームはPCやタブレットなどのデジタル端末から利用できます。受講者はインターネット環境さえあれば、「いつでも」「どこでも」気軽に学べるのがメリットです。
受講者は隙間時間に学習できるため継続して学びやすく、定着率が高まります。また、ひとつの会場に受講者を集める必要がなく、遠方にいる受講者にも対応できます。
2.個々の教材・出題内容を最適化できる
アダプティブラーニングを取り入れた学習プラットフォームは各受講者の学習進捗や正誤情報などの学習データを分析し、個々に合わせて教材や出題内容をカスタマイズしてくれます。間違えた問題や苦手な分野は繰り返し出題されることから、受講者は着実に知識を身に付けられます。
3.学習状況を見える化できる
アダプティブラーニングを取り入れた学習プラットフォームは、受講者の学習進捗をリアルタイムで追跡し、学習データを可視化します。管理者側は個々の学習データをもとに、対面での指導内容を最適化したり、適切なフィードバックができたりと、効果的な学習支援が行いやすくなります。
また、受講者自身もこれまでの学習記録を確認できます。自分の苦手分野や課題が明確化することで、学習意欲が高まる人もいるでしょう。
4.指導品質を均一化できる
対面指導は指導者のスキルに大きく影響を受ける点が課題です。同じ学習カリキュラムを組んでいても、進め方や伝え方によって指導品質にばらつきが生じてしまいます。
一方、アダプティブラーニングは学習者のデータに基づいた学習プログラムを提供するため、指導者の主観が入り込むことはありません。学習進捗や正誤情報、学習時間など、データという根拠に基づいた最適な教育が可能となります。
5.膨大な学習データを活用した教育施策を考えられる
大規模な組織にアダプティブラーニングを取り入れると、過去の成績優秀者や合格者などの行動特性を利活用できることもメリットです。「学習スピードの速い受講者のほうが知識の定着率が高い」「継続して学習できている受講者は1回の学習時間が短い」など、現場の指導だけでは分からなかった気づきを得られます。
学習プラットフォームによっては、受講者全員のデータをもとに最適な指導方法を提案してくれるものもあります。
膨大な学習データによる分析は、AIならではの強みといえるでしょう。
アダプティブラーニングの4つのデメリット
アダプティブラーニングは多くの魅力的なメリットがありますが、欠点のない万能な学習スタイルではありません。ここではこの方法のデメリットを4つご紹介します。導入する前にきちんと把握しておきましょう。
1.受講者のモチベーションを継続させるのが難しい
アダプティブラーニングは、受講者の好きなタイミングでマイペースに学習できる反面、モチベーションの継続が難しい点はデメリットです。
対面研修であれば一定の強制力をもたせられますし、ワーク内容を工夫すればモチベーションを高めることが可能です。しかし、アダプティブラーニングは自分で学習を始め、継続する必要があり、人によってはなかなか学習が進まない可能性もあります。
2.実践的なスキル習得は難しい
アダプティブラーニングは知識の習得には適しているものの、コミュニケーションを要する学習内容や実践的なスキルを習得するのには向いていません。
実技を習得させたい場合には、対面指導が可能な手法を取り入れましょう。学習内容によって手法を変えるのも有効です。
3.ICT環境の構築にコストと時間がかかる
アダプティブラーニングを取り入れた学習プラットフォームを利用するには、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークインフラなどの環境を整える必要があり、コストと時間がかかります。また、システムを使いこなせる技術者も必要です。
導入にあたっては、まず現状のリソース(予算、人員、環境)を洗い出した上で、必要な準備や手順を明確にすることが重要です。
4.社員教育には向かない
アダプティブラーニングは「習得すべき知識(ゴール)」が明確な学校教育に適した手法であることを押さえておきましょう。
学校は文部科学省によって全国統一で学習指導要領が定められているため、指導品質の均一化は非常に重要です。事前に決められた教材・出題を個々に合わせてカスタマイズすることで、成績が乏しい生徒の学力を底上げすることが可能です。
一方、社員教育では、ビジネスマナーなどの画一的な学習内容だけでなく、業界・企業独自の知識や専門的なスキルなども取り入れる必要があります。また、新卒社員や中途採用者、経験者・未経験者など個々のスキル・知識レベルが統一されておらず、必要な学習内容が異なります。
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社員一人ひとりが目的に応じた教材を選べるだけでなく、独自コンテンツを活用した教材の作成が可能なシステムもあります。
eラーニングの基本的な説明や導入方法などを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「eラーニングとは?活用例やメリット・デメリットをわかりやすく解説」
アダプティブラーニングの活用事例
アダプティブラーニングをどのように活用すれば良いか、まだイメージできていない方も多いのではないでしょうか。ここでは、アダプティブラーニングの活用事例を2つご紹介します。
人工知能型教材
算数・数学の学習にAIを利用した人工知能型教材の「キュビナ(Qubena)」は、AIによって学習者一人ひとりの学習フローを最適化できる点が魅力です。学習者の操作ログや計算過程、解答データをAIが分析し、課題や苦手な分野を洗い出して、それを克服できるよう学習プログラムを提供します。
AI活用ラーニングシステム
AI活用ラーニングシステム「アタマプラス(atama+)」は、AIが学習者の得意・不得意、集中状態などを分析し、一人ひとりに合った最短の学習ルートを提供します。
AIが学習者の集中度や学習の進捗状況を指導者のタブレットに送信するため、指導者は学習者のコンディションを逐一把握でき、適切な声掛けやフィードバックが可能となります。
まとめ
今回は、アダプティブラーニングのメリット・デメリットについてご紹介しました。
アダプティブラーニングは画一的な目標が定められた学校教育に適した手法ですので、社員教育に取り入れる際は別の手法を検討しましょう。
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