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企業のコンプライアンス違反事例を徹底解説!防止策と危機管理とは


コンプライアンス違反は、企業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、違反を未然に防ぐ対策を講じることが、企業経営に不可欠です。
リスク管理の一環として、コンプライアンス違反の事例を振り返ることは、コンプライアンス教育担当者にとって有益です。
本記事では、実際のコンプライアンスの違反事例を参考に、防止策と危機管理について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.コンプライアンス違反とは
    1. 1.1.なぜコンプライアンス違反をしてしまうのか
    2. 1.2.コンプライアンス違反が企業に与えるリスク
  2. 2.自社でも起こりうるコンプライアンス違反の事例
    1. 2.1.事例1:迷惑行為をSNSにアップ
    2. 2.2.事例2:新入社員の過労死
    3. 2.3.事例3:ハラスメントにより休職
    4. 2.4.事例4:食品の景品表示法違反
    5. 2.5.事例5:従業員のインサイダー取引
    6. 2.6.事例6:顧客情報を無断で利用
    7. 2.7.事例7:飲食店での食中毒
    8. 2.8.事例8:個人情報流出
  3. 3.コンプライアンス違反の最新事例
    1. 3.1.事例1:雇用調整助成金を不正受給
    2. 3.2.事例2:不正勧誘による違反
    3. 3.3.事例3:食品偽装
    4. 3.4.事例4:景品表示法違反
    5. 3.5.事例5:インサイダー取引
    6. 3.6.事例6:顧客情報の不正利用
    7. 3.7.事例7:役員による相次ぐセクシュアルハラスメント
  4. 4.コンプライアンス違反事例の予防策
    1. 4.1.コンプライアンス意識の醸成
    2. 4.2.公私混同を避ける
    3. 4.3.ハラスメント対策
      1. 4.3.1.パワハラ対策
      2. 4.3.2.セクハラ対策
      3. 4.3.3.SOGIハラ対策
  5. 5.社内のコンプライアンス管理体制の構築
    1. 5.1.コンプライアンス違反のリスクを洗い出す
    2. 5.2.コンプライアンス規程を作成する
    3. 5.3.コンプライアンス研修を実施する
      1. 5.3.1.最新法令やガイドラインの情報提供
      2. 5.3.2.違反事例を取り入れたワークショップ
  6. 6.コンプライアンス違反が起きってしまった時の対応
    1. 6.1.コンプライアンス違反発生時の調査と対応
    2. 6.2.危機管理広報
  7. 7.まとめ

コンプライアンス違反とは

企業や団体に要求されるコンプライアンスの遵守は、法令遵守のみならず、社会倫理に沿った行動を取ることです。
コンプライアンス違反は、法的・道徳的・社会的規範やルールに反する行為で、インサイダー取引、贈賄、不正会計、ハラスメントなど、多種多様です。
これらは企業の信頼性を損ない、深刻な経済的損失や事業の存続を脅かす重大な問題に発展する恐れがあります。

なぜコンプライアンス違反をしてしまうのか

コンプライアンス違反は企業の信頼を損なうものです。
では、なぜコンプライアンス違反をしてしまうのでしょうか?
一例としては、高い売上目標に対する圧力から、無理な数値を追求する過程で、基準が曖昧になる点が挙げられます。売上至上主義により、個人が利益追求のために利己的な判断を下すことがあります。

また、管理職による不適切な指示が、従業員が不祥事に手を染める一因になることがあります。上司の命令を個人のモラルよりも優先する文化が根づいていると、違反行為は組織全体に広がりやすくなります。
さらに、コンプライアンス教育が不十分な場合、従業員が正しい判断を下す情報や知識をもっておらず、コンプライアンス違反のリスクが高まります。

コンプライアンス違反が企業に与えるリスク

企業活動でのコンプライアンス違反は、その後のビジネス運営に大きな悪影響を及ぼします。違反が発覚した際の罰金や賠償費用は企業財政に直撃し、深刻な経済的打撃になります。しかし、財務的損失だけでなく、企業の信頼喪失による顧客流出も無視できません。一度失った信用は簡単には回復せず、評判損失が長期にわたり企業の収益に悪影響を与えます。

また、コンプライアンス違反が社会に知られると、社内のモチベーション低下は避けられません。従業員の士気は企業文化に直結し、その低下は生産性や創造性の衰えを引き起こします。これは競争力を損なう可能性があり、長期的には企業成長の妨げになります。

さらに、株式市場ではコンプライアンス違反というネガティブなイメージが株価下落の原因になることがあります。これにより、資金調達の機会が失われる可能性があります。
企業の評価低下はストックオプションや社員持株プランなどのインセンティブにも影響を及ぼし、最悪の場合企業の存続が脅かされることもあります。

コンプライアンス違反がもたらすこれらの影響はすぐに解決できるものではありません。リスク管理と防止策を講じることは、事態を未然に回避し、健全なビジネスを維持し向上させるために不可欠です。

自社でも起こりうるコンプライアンス違反の事例

企業経営において避けられないのがコンプライアンス違反とその対策です。
自社でも起こりうるコンプライアンス違反の事例をご紹介しますので、リスク回避の参考としてください。

事例1:迷惑行為をSNSにアップ

従業員が個人のSNSで迷惑行為にあたる内容を投稿し、社会的な問題になるケースが多々あります。

職場内での不適切な振る舞いや業務外のトラブルが個人アカウントから投稿され、企業名が拡散されると、企業のブランド価値が大きく損なわれてしまいます。

よく言われるのが「バイトテロ」というアルバイト従業員が不適切な動画をSNSに投稿するものです。

2013年東京都多摩市のそば店では、アルバイト従業員が大型の食器洗浄機に身体を入れ寝そべる画像をツイッターに投稿、大炎上し閉店に追い込まれる事件がありました。

企業においては、ソーシャルメディアガイドラインの策定と徹底に努め、どのような投稿がイメージを悪化させるかを明確に示し、不適切な投稿を抑止することが可能です。
従業員が企業の価値観を共有し誇りをもって行動することを奨励する環境を整えることが重要です。

事例2:新入社員の過労死

企業にとって、過度な労働に起因する労働環境のリスク管理は必須です。

2015年に大手広告代理店で新入社員が過労やパワハラが原因でうつ病を発症し、命を絶った事件は、多くの企業に衝撃を与えました。
この新入社員の自殺は、長時間の過重労働が原因として労災認定されました。

このような事態を防ぐためには、企業は適正な労働時間の確保と監視、また社員の健康管理を強化する体制の構築が求められます。
具体的には、労働時間の適切な監督、過重労働に対する早期警告、企業文化と業務プロセスの改革が必要です。また、社員のメンタルヘルスを支援する研修や相談窓口の設置も効果的です。

参考:女性新入社員が過労自殺するまで

事例3:ハラスメントにより休職

職場でのハラスメントは、企業にとって深刻なコンプライアンス違反であり、人材流出や訴訟リスクを引き起こす可能性があります。性別、年齢、人種に基づく差別的な発言や行為による心理的被害は、個人だけでなくチームの士気にも悪影響を及ぼし、職場全体の生産性を低下させます。

大手飲料メーカーにおいて、上司のパワハラにより男性社員がうつ病を発症し、休職に追い込まれた問題がありました。
2014年には、男性社員が「上司のパワハラでうつ病と診断され、休職せざるを得なくなった」と会社側に損害賠償を求めた訴訟の判決が下され、東京地裁は会社側に対し、約290万円の支払いを命じました。

参考:日本経済新聞 「上司のパワハラでうつ病に」

事例4:食品の景品表示法違反

景品表示法違反は、企業に深刻な信用失墜を招くリスクです。実際と異なる広告は、消費者を誤解させ、企業の品質や信頼性を問われます。

2022年に飲料の容器に「厳選マスクメロン」「100% MELON TASTE」等と表示することにより、原材料の大部分がメロンの果汁であるかのような表示をしていましたが、実際メロンの果汁は2%程度しか用いておらず、景品表示法違反(優良誤認)であるとし、消費者庁から措置命令が出された事件がありました。

参考:景品表示法に基づく課徴金納付命令について

事例5:従業員のインサイダー取引

2007年に、テレビ局の報道記者ら3人が放送前に特ダネニュースを閲覧し、得た情報の対象企業の株式の売買を行う事件がありました。
この事件は報道機関の根幹を揺るがす大問題になりましたが、企業においても従業員や役員のインサイダー取引は、企業の社会的に信用の損失につながる問題です。

自分の行いがインサイダ―取引にあたる認識がないケースもあるので、特に上場企業や上場企業との取引がある企業は、インサイダー取引に関する社内教育を徹底する必要があります。

参考:職員にインサイダー取引疑惑

事例6:顧客情報を無断で利用

2019年に人材サービス会社が、同意なしにユーザーの就活生の内定辞退率を企業に販売した事件がありました。

企業における顧客情報の扱いは、信頼性とブランドイメージに大きな影響を与える重要な要素です。特に、個人情報保護法を始めとした各種規制に則った厳格な管理が求められています。

参考:日本経済新聞「辞退率販売、職安法に違反」

事例7:飲食店での食中毒

2011年、焼肉チェーンレストランを展開する企業の複数の店舗において、ユッケなどの生肉を食べた180人以上の客が食中毒となり、5人が死亡するという痛ましい事件がありました。
この事件を契機に、国は生食用食肉の規格基準を見直し、生レバーの提供・販売が禁止されるようになりました。

飲食店では、衛生管理を徹底することが極めて重要です。管理が疎かになると、食中毒を引き起こす可能性が高まります。衛生面のミスは、営業上の問題にとどまらず、事例のように顧客の健康や命に関わる事態に発展する恐れがあり、社会的信頼を損ねる重大な事件となるため、食品安全に関する違反は避けなければなりません。

参考:朝日新聞デジタル「ユッケ食中毒」

事例8:個人情報流出

2014年、大手通信教育事業の会社において、3500万件にのぼる大量の顧客情報が外部に流出したことが発覚しました。
業務委託先の元社員が意図的に持ち出したことが判明しています。
大手通信教育事業の会社においては、裁判では予見可能性はなく、損害賠償を命じられませんでしたが、情報が流失したクライアントに対し、お詫びの品として1人500円の金券を用意しました。

企業が管理する顧客や従業員の個人情報流出は、コンプライアンス違反のみならず、企業の信頼を損なう深刻な問題です。
内部で徹底したリスク評価と対策を施すことは、流出事故を未然に防ぐのに効果的です。流出が発生した場合は、迅速かつ適切な情報公開とアフターケアが必要であり、被害を最小限にとどめるための危機管理体制の構築が求められます。

参考:日本経済新聞「情報流出、1人3300円賠償命令 東京地裁判決」

コンプライアンス違反の最新事例

企業が直面するコンプライアンス課題は日々複雑化しています。
最新のコンプライアンス違反の事例から自社のコンプライアンス問題を振り返りましょう。

事例1:雇用調整助成金を不正受給

新型コロナウイルス感染症の影響で、従業員を休ませるなどして雇用を維持した場合に支払われる「雇用調整助成金」ですが、この助成金をめぐり、様々な不正が行われました。

2024年2月に、東海地方の旅行会社において、「雇用調整助成金」2200万円あまりを不正に受給していたことが判明しました。
実際は従業員が出勤しているのにもかかわらず、新型コロナの影響で仕事を休ませたとする虚偽の書類を作成し、提出していたそうです。
この企業は、2020年から2年間で受け取った助成金と違約金や延滞金合わせて29億円あまりを返納したとしています。

参考:NHK「雇用調整助成金を不正受給 29億円余を返納」

事例2:不正勧誘による違反

不正勧誘とは、金融取引においてどんな状況でも避ける必要がある違反行為です。企業が意図的に虚偽の情報を提供したり事実を歪めて顧客に誤解を招き、結果として不利益を被らせる行為を言います。この不誠実な行為は、顧客の信頼を損ない、企業の社会的評価を下げ、法的責任を問われる可能性があります。

2024年3月、「瓦がずれていて危ない」と嘘を告げてリフォーム工事を勧誘する訪問販売事業者が業務停止命令を受けました。
これは、突然消費者宅を訪問し、修理が必要な状態ではないにもかかわらず、すぐに工事をしないと危険といった不実を告げて工事を勧誘するといった行為です。

特に判断能力が不十分な高齢者を標的にした不正勧誘が多く、これらのケースでは、高齢者が雰囲気や複雑な契約に圧倒され、不適切な商品に誘導されることがよくあります。

自社でこのようなことがないようにするには、関連する法令や倫理規定に準じた指導を行い、遵守意識を高めることが重要です。さらに、社内のコンプライアンス体制を強化し、不正行為や不適切な勧誘があった際の迅速で透明性のある対応策を策定することが大切です。

参考:「瓦がずれていて危ない」などと嘘を告げて、リフォーム工事を勧誘する訪問販売事業者2社に業務停止命令

事例3:食品偽装

食品業界では産地偽装や賞味期限の改ざんが目立つ事例としてよく挙げられます。
2023年9月に神奈川県の食品加工会社が、外国産の豚肉を「国産」と偽って混入させていたことが判明しました。小中学校の給食にこの豚肉を提供しており、この会社では、10年以上前から偽装を続けていたことが分かっています。

混入された外国産の豚肉は、一般的に流通している品と一緒で安全性に問題ないとされていますが、消費者の信頼を裏切る行為でした。

参考:NHK「産地偽装の豚肉を川崎の学校給食に提供 神奈川の食品加工会社」

事例4:景品表示法違反

現代の消費者市場では、正確で透明な情報提供が必要です。企業の広告や製品情報は、消費者を誤解させないように正確で誠実であることが求められています。これは、消費者の選択に錯誤を招くような虚偽の表示が景品表示法で禁止されているためです。

2024年5月に電力会社において、家庭用の料金プランにおいて、実際よりも安くなるかのように自社サイトなどに表示し、景品表示法違反(有利誤認)にあたるとして、消費者庁は課徴金納付命令を出しました。
課徴金は16億円となり、過去最高額とされています。

参考:日本経済新聞「16億円の課徴金命令、過去最高 消費者庁」

事例5:インサイダー取引

2024年5月、食品会社の元役員が新型コロナウイルスの影響などで業績予想の下方修正をする前に株を売却するインサイダー取引をしたとして課徴金の納付を命じられる事件がありました。
この会社では以前も子会社の元役職員がインサイダー取引を行っていました。

インサイダー取引は、情報を知りえる立場の役員が行うことが多いですが、従業員も知らずに行ってしまう可能性があるため、すべての人に向けて教育を行う必要があります。

参考:NHK「元役員がインサイダー取引か 課徴金納付命令を勧告」

事例6:顧客情報の不正利用

2023年に、大手電気通信事業者の子会社の派遣社員が、会社のサーバーからおよそ3万2700人分の顧客情報を持ち出し、名簿業者に送信し、得た利益で借金の返済などに充てていた事件がありました。
元派遣社員は不正競争防止法違反の罪で懲役3年を求刑されています。
公判のなかで、元派遣社員の勤務先ではサーバーのID・パスワードが担当者で使い回されていたり、USBの持ち込みの確認がされていなかったなど、ずさんな管理が明るみになっています。

このように、従業員が個人の利益を目的として顧客データを持ち出したり、簡単なパスワード管理によって第三者が情報を盗用するケースは多々あります。これらはすべて、個人情報の管理不足やアクセス権限の乱用が原因です。
個人情報を守るため、企業は社内教育と意識向上研修を定期的に実施し、従業員に情報の適切な取り扱いと漏えい時のリスクについて理解を深めさせることが重要です。さらに、情報システムのセキュリティを強化し、アクセス権の管理を適切に行うことで、不正利用の防止と漏洩リスクの低減に努めることが必要です。

参考:NHK「顧客情報漏えい 不正競争防止法違反の罪 被告に懲役3年求刑」

事例7:役員による相次ぐセクシュアルハラスメント

大手石油元売り企業において、2023年・2024年と相次いで酒席での女性に対する不適切行為により役員が解任される事件がありました。
同企業によると、今度は取締役や社長選任の過程で、第三者機関が候補者の酒席での過去の振る舞いやハラスメントの前歴などを調査し、取締役会で決議することを表明しています。

企業が直面する深刻な問題の一つに職場でのハラスメントがあります。セクシャルハラスメントからパワーハラスメントまで、様々なハラスメントがありますが、企業の役員が行うということは、企業の信頼性や業績に大きな悪影響を及ぼします。

企業におけるハラスメント教育は、従業員、役員を含む、すべての人に対して、定期的に行う必要があります。

参考:産経新聞「取締役選任で「酒席での振る舞い」調査へ」

コンプライアンス違反事例の予防策

組織内には様々なハラスメント関連の要因が潜んでおり、排除は容易ではありません。
しかし、全従業員がコンプライアンスを意識し、日々の業務に取り組む文化を育むことで、違反の予防につながります。教育と訓練の体系的な実施、役職や立場にかかわらずオープンなコミュニケーションの促進、早期発見と対応を可能にする報告システムの整備が必要です。これら予防策には、企業ごとのカスタマイズが必要ですが、根底に「違反を容認しない」という姿勢の徹底が求められます。

ここでは、コンプライアンス違反事例の予防策について解説します。

コンプライアンス意識の醸成

社員のコンプライアンス意識の醸成は事業の持続可能性に非常に重要です。経営層・従業員すべての層で、正しい法令遵守の姿勢を固め実践することが求められます。

まず、定期的なコンプライアンス教育を通じて社員の知識と意識を更新することが必須です。これには法規制の変更情報、業界の不正事例の共有、内部報告制度の徹底が含まれます。教育プログラムは新入社員だけでなく全社員が参加すべきで、特に新入社員には社会人としての責任と法令遵守の重要性を深く認識させることが大切です。

さらに、社内報や社内SNSなどのコミュニケーションツールを使用してコンプライアンス関連情報を定期的に共有し、社員の意識統一を図ります。
役員や管理職は、自身の行動でコンプライアンスを遵守し模範を示します。

これらの取り組みにより、企業はルールの遵守だけでなく正義感や倫理観のある企業文化を育みます。
また、コンプライアンス違反の未然防止やリスク管理にも効果をもたらし、持続可能な成長の基盤を築くことになります。

公私混同を避ける

企業では公私混同は経営危機を招く重大な問題になります。経営者や人事担当者、法務担当者は、個人と企業の利益が交錯する場面で適切に判断し、利益相反のリスクを管理する必要があります。

利益相反は多様な形で現れる可能性があります。例えば、家族や友人が関わる企業との取引や、個人の副業が競合他社である場合など、微妙な判断が必要です。

これらの問題を防ぐため、まず利益相反の具体例を挙げて全社員が理解しやすいように周知することが大切です。具体例を示し、定期的な研修会を開催して理解を深めることが推奨されます。

次に、倫理規定を明確かつ包括的に定め、それに基づく行動指針を社員に示すことが必要です。倫理規定が不明確であったり、周知不足では、誤解や違反を招きます。倫理規定は不正を防ぐ明確なガイドラインであり、定期的に見直しと更新を行って時代の変化に対応することが有効です。

さらに、不正や倫理違反を報告しやすい環境を作ることも重要です。内部で匿名で報告できるシステムの導入や、違反に対する公平で透明な対応で、信頼関係を育むことができます。

公私の混同を避け、倫理的な問題に対応するためには、事例の示し方、行動指針の定め方、相談しやすい社内文化の構築が不可欠です。
これにより企業はコンプライアンス違反のリスクを減らし、企業価値を守ることができます。

ハラスメント対策

職場のハラスメントは組織全体に悪影響を及ぼす重大な問題です。そのため、企業は様々なハラスメントを未然に防ぐための対策を講じる必要があります。
ハラスメントの種類別に対策方法を解説します。

パワハラ対策

まず、全従業員に対して、言葉遣いや指導方法、フィードバックの頻度や場所、目的の明示など、指導プロセス全体の見直しを行います。

次に、職場のコミュニケーションルールの策定を行い、徹底させることが重要です。ルールブックを作成するなどし、どのような言動がパワハラにあたるかを明示し、全員の意識改革を促します。

セクハラ対策

社内ガイドラインの具体化と教育の徹底が対策の第一歩です。
セクハラの定義を明確にし、具体的な事例を挙げて従業員に理解させる研修プログラムを定期的に実施しましょう。相談窓口の設置では匿名で相談できる体制を構築し、プライバシーの保護と迅速かつ公平な問題対応を実現しましょう。

さらに、セクハラ行為が発覚した際の対応策として、事前に明確な処分基準を策定し社内に周知することが不可欠です。処分基準の設定だけでなく、その背後の理念や企業としての姿勢を示すことが重要です。

SOGIハラ対策

現代社会では、社員の性的指向や性自認を理解し、尊重することが、企業の持続的な成長と人材の活躍に欠かせない要素となっています。「SOGIハラスメント」は個人の尊厳を傷つけ、職場の信頼関係を破壊し、業績の低下や法的リスクを引き起こす深刻な問題です。企業は性的指向や性自認に基づくハラスメントに対して明確に取り組み、許容しない姿勢を示すことが必要です。

SOGIハラスメントの防止と多様性の尊重には、経営層から一般職員までコンプライアンス教育を実施することが重要です。定期的な研修やワークショップで性的マイノリティに対する理解を深め、SOGIに関する社内規定を整えることが求められます。

これらのハラスメント対策には、定期的な研修の実施が欠かせません。ケーススタディを用いた研修を通じて、実際の状況を想定し、適切な対応法を従業員と共有します。実際の事例を基にした教材は、より具体的に問題意識をもつきっかけを提供します。

また、社内意識の醸成には、社内外の情報を取り入れながら、ハラスメント防止策を常に更新していくことが必要です。

イー・コミュニケーションズではハラスメント教育をeラーニングで行うコンテンツ「コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティベーシック」を提供しています。
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社内のコンプライアンス管理体制の構築

企業におけるコンプライアンス体制の強化と育成は経営の重要な課題です。コンプライアンス違反は経営リスクはもちろん、企業のブランドや社会的信用を著しく損なうことにつながる可能性があるからです。そのため、実際の事例に学びつつ、従うべきルールの徹底とそれに基づいた違反の事前防止のための強固な管理体制構築が求められます。
ここでは、具体的な管理体制構築のポイントを解説していきます。

コンプライアンス違反のリスクを洗い出す

過去に発生したコンプライアンス違反の事例や、自社の日常業務での運用実績を徹底的に分析し、組織内に潜むリスク要因を正確に識別します。
たとえば、不正アクセス行為や賄賂のような刑事責任を伴う行為だけでなく、知的財産の管理や個人情報保護といった領域での違反リスクも洗い出します。

これらのリスクに対して効果的な防止策を策定する際には、経営層の取り組み意識や社内のコンプライアンス体制の充実度など、企業文化も重要な要素として考慮しなければなりません。
リスクアセスメントを行い、その結果をもとに社員教育の充実や内部通報システムの整備、監査体制の強化などを含めた総合的な対応計画を立てることが、コンプライアンス違反の発生を効果的に軽減する鍵です。

コンプライアンス規程を作成する

企業活動におけるリスクを網羅的に分析し、コンプライアンス遵守のためのマニュアルやガイドラインを策定することが重要です。これらの文書では、従業員が日常業務で直面する具体的な状況に応じた行動規範を示すことが必要です。コンプライアンス違反行為を明確にし、共通の理解をもつことで、不正を未然に防ぎ、企業倫理を向上させる効果が期待できます。

また、違反事例が発生した際には、報告ルートを明確にし、公正な処罰を行う体制を整えることが必要です。これらの取り組みにより、法令遵守の意識が高い組織文化を育成し、コンプライアンスリスクを減少させます。

コンプライアンス研修を実施する

企業が直面するコンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えるため、社内の全メンバーへコンプライアンスの重要性を徹底させることが必須です。そのためには、新入社員が入社する際の研修だけでなく、定期的な研修の実施が求められます。
ここでは実務に応じた教育を通じて、企業文化の一部とする方法を紹介します。

最新法令やガイドラインの情報提供

まず最新の法令や規制に基づく情報提供が欠かせません。ビジネスの世界は常に変化しており、その流れに合わせて法規制も更新されるため、定期的に研修内容を見直し、改正された法律や業界の新しいガイドラインに即したプログラムを提供することが必要です。これにより従業員が最新の情報を理解し、日々の業務で正しい判断を支援します。

違反事例を取り入れたワークショップ

さらに具体的な違反事例を取り入れた研修は、理解を促進し意識を向上させます。想定されるリスクシナリオを交えたワークショップを実施し、参加者が考え、話し合い、適切な対応策を見出す訓練をすることで、理論だけでなく実際の対処法を身に付けることができます。これが実際の業務での違反防止につながり、リスクを未然に防ぐ効果を高めます。

コンプライアンス研修は単なる形式的なものではなく、企業文化として根付かせる必要があります。従業員がコンプライアンスを自らの責任と捉え、ルールを守るだけでなく、企業倫理を心から支持し守る意識をもつことが重要です。
そのためには研修プログラムを継続的に改善し、個人に対するフォローアップを怠らず、コミュニケーションを取りながら改善策を見出していく必要があります。そうすれば従業員は率先して問題を解決し、企業としての信頼と評判を維持できます。

コンプライアンス研修にはイー・コミュニケーションズのeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」がおすすめです。コンプライアンス研修のエントリー教材として活用できる「コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティベーシック」や弁護士事務所監修の問題集「コンプライアンス総合問題集」を活用して、コンプライアンス教育が実施できます。
自社で作成したオリジナル教材を搭載することもできますので、自社の理念浸透などにも活用いただけます。

コンプライアンス違反が起きってしまった時の対応

企業にとってコンプライアンス違反は、企業の信頼性と存続に直結する深刻なリスクです。このような状況が発生した際には、経営に危機が生じることもあり、迅速かつ適切な対応が必要です。潜在的なコンプライアンス違反に対してあらかじめ戦略を練ることが大切です。

ここでは、企業がコンプライアンス違反を発見した際の初動対応手順を詳しく解説し、効果的な危機管理手法についても触れていきます。

コンプライアンス違反発生時の調査と対応

まず、疑惑が生じた時点で直ちに内部調査の体制を整えることが最優先です。この調査では、法務部門が中心となり、必要に応じて第三者委員会の設置も有効です。第一段階として、関連する証拠の念入りな保存を行う必要があります。
次に、関係者のヒアリングを行います。ここでは、違反事実を明らかにするだけでなく、その背景や原因を明らかにすることが重要です。文書や電子メールなどのデータに対する詳細な解析を通じて、問題の全容を把握する情報を集めます。

危機管理広報

コンプライアンス違反が明るみに出た時、企業の経営者やコンプライアンス関係者は速やかに正確な広報戦略を立て、実行する必要があります。
情報の正確性はもちろん、透明性をもって公表することが、企業信頼の維持には不可欠です。特に、違反を認める場面であっても、決して感情的にならずに冷静な事実報告を行い、誠実な謝罪と共に再発防止の具体策を明確に伝えることが重要です。

さらに、広報活動においては、社内外のステークホルダーへの適切な情報提供プロセスを確立し、社員、取引先、株主への配慮を怠らないことが大切です。情報公開は、組織内外の信頼関係を再構築し、企業の価値を保全するための要です。
広報は1回で終わりではなく、必要があれば都度行うことが信頼回復のためにも大切です。
一貫した情報提供とオープンなコミュニケーションが、将来的なリスクの最小化につながります。

まとめ

経営の基盤を揺るがすコンプライアンス違反は企業にとって重大な経営リスクです。
それを防ぐためには企業文化の醸成から徹底的な教育、内部報告システムの構築、定期的な振り返りが不可欠であることをお伝えしました。
コンプライアンスは、ステークホルダーや顧客など社外に対しても、また自社で働く従業員に対しても大切なものとなっています。違反があった場合のリスクが大きいため、未然にトラブルを予防することが必要です。仕組みづくりとともに、管理職や担当者への教育も、全ての従業員への教育もますます必要性が高まっていくと言えるでしょう。
コンプライアンス研修・コンプライアンス学習の導入をご検討中なら、ぜひ私どもイー・コミュニケーションズにご相談ください。
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興味がおありの場合は、お気軽にお問い合わせください。

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