エンタメ検定とは、資格取得のための検定試験ではなく、漫画やアニメ、映画、ひいてはアイドルグループのファンの方が「好きなモノへの愛を証明」する検定試験です。合格点に達した受験者の方には、コンテンツ著者からのメッセージが入った認定証をお渡しするなど、オフィシャルで限定の特典があります。2021年4月から5月にかけて実施した「名探偵コナン検定」をイー・コミュニケーションズにシステム面、運用面でサポートしていただきました。
当社では『FaneX』というサービスを展開しています。ファンの「ロイヤル化」を支援するサービスですが、コロナ禍では、リアルなイベントが軒並み中止になっていたので、ファンの方々に対して、オンラインで体験価値を提供したいという思いがありました。そのためスマートフォン・タブレット・パソコンなどのデジタルデバイスで、いつでも受験ができるオンライン検定というのは良い仕組みでした。
ファンが喜ぶ限定特典を分析しました。検定試験に合格したら「記念グッズ」「コンテンツ著者の書き下ろし認定書」などは形として残りますので、ファンにとっては嬉しい特典です。モノ以外にも「好きなキャラクターからお祝いや、労いのボイスがもらえる」という『体験価値』の特典も好評でした。体験価値の提供もエンタメ検定が成功する要因だと思います。
また、「名探偵コナン検定」では、検定試験後の認定書の広がりは予想をしていましたが、検定試験前の期間もSNS上で盛り上がっていました。「実家に帰って90巻まで掘り出してみんなで読み返してます」とか「1巻から90巻大人買いして試験勉強をしてます」のような、それぞれの勉強報告が盛り上がっていて、ファンの方々から自発的に盛り上がるようになるのが、エンタメ検定が成功する秘訣だと感じました。
「名探偵コナン検定」の開催当初は、ファンの方々が「検定」という形にしたところで果たして、受験者として申し込んでいただけるか、挑戦していただけるか不安もありましたが、1級、2級、3級と多くの方に受験していただけました。検定試験終了後は、一般の方だけではなく、YouTuberも実際に受験したレポートを動画にして配信したりと、予想以上の反響がありました。
現在では新しい作品やゲームなど、エンターテイメントコンテンツが続々と出てくる市場であり、ファンの獲得やファンが別のコンテンツに流れてしまう、という課題が常にあると思います。
この課題に対して「検定」というものは、永久的なライセンスを付与することや、ファンの愛を証明することで、コンテンツを購入するきっかけだったり、コンテンツを振り返り、コンテンツへの愛を再確認できるきっかけでもあると思います。エンタメ検定を実施することで、ファンと中長期的な関係を構築することが、エンタメ検定の意義ではないかと思います。
まずは漫画やアニメ作品からエンタメ検定はスタートしましたが、アイドルやスポーツなど、コアなファンの方々が存在するコンテンツであれば、業界は問わず展開が可能だと思います。
ただし、いくつかハードルがあり、企業からそのコンテンツをお預かりして展開していく上で、限定特典は実現できないこともあります。
例えば、このキャラクターと、このキャラクターを並列してはいけないとか、この特典の場合は、別のクライアントに確認しなければならない、など制約もあります。制約がある中で、ファンの方々の声を聞きながら、魅力的な特典を設計していく。また、受験者を集めるという部分では、ファンの方々が自発的に広めることが大切であり、プロモーションに費用をかけても受験者が集まらないケースはあると思います。
SNSが発達している現在の市場では、自分の存在価値をアピールしたい、とか私が一番コンテンツに愛があることを発信したい、というファンがいらっしゃり「人に認められたい」「公式に賞賛されたい」というような欲求があると思います。これに対してエンタメ検定を行うことで、その欲求が満たされ、さらに発信し、これに影響を受けたファンが新たに生まれる、というサイクルはコンテンツホルダーにとってメリットだと思います。
まずは企業の課題であったり、目指したいゴールというのを共有していただき、課題に対してアプローチできればと考えています。エンタメ検定は課題解決方法のひとつであり、公式サイトやゲームなど、他にも解決方法がありますので、複合的にプロデュースさせていただきます。
エンタメ検定の最大のメリットとしては、SNSの広がりという部分と、著名人の方が受験するとメディアでも取り扱われやすいため、一気に広がる可能性があるところです。そういう意味ではファンの層、熱狂度、繋がり方などを理解することから始めるのが良いかと思います。