役員研修で行うべき内容は?目的と成功のポイントを解説
コーポレートガバナンス・コードの2021年改訂により取締役・監査役に対するトレーニングの開示が明示され、上場企業では役員研修の実施が求められるようになりました。しかし、取締役や監査役、社外取締役も参加するとなると予定をおさえるのに一苦労です。本記事では役員研修をどのように行うべきか検討されている総務・人事担当者向けに、役員研修に盛り込む内容や成功のポイント等を解説していきます。
目次[非表示]
- 1.役員研修とは
- 2.役員研修の目的
- 2.1.企業の経営理念をあらためて理解する
- 2.2.業績を上げる
- 2.3.経営者の負担軽減
- 2.4.役員のスキル向上
- 3.役員研修に盛り込む内容
- 4.役員研修の形態
- 5.役員研修成功のポイント
- 5.1.目的を明確にする
- 5.2.アフターフォローをする
- 6.効果的・効率的に役員研修を行いたい担当者様は「取締役・監査役トレーニング」をご検討ください。
役員研修とは
役員研修は役員を対象に行うもので、管理職研修とも異なります。その定義と必要性について見ていきましょう。
役員の定義
会社法における役員とは、取締役、会計参与、監査役と定められています。(会社法第329条)
役員とは経営に大きく携わり、使用者の管理監督を行う人材をさします。そのため使用者に雇用される労働者である管理職とは根本的に立場が異なります。
出典:e-Govポータル「会社法」第三百二十九条(デジタル庁)
役員研修の必要性
企業の成長に役員研修は不可欠です。なぜなら役員は企業の責任者であり、大勢の部下の上に立って先導する立場だからです。スキルや経験不足で就任した際、研修を受講することで必要なスキルを高め、能力値を挙げる必要があります。 役員から経営者へステップアップする可能性もあるため、経営力についてもあわせて学べると良いでしょう。
また「コーポレートガバナンス・コード」の改訂で、次のように役員研修の開示が求められており、上場している企業は役員研修を行う必要があります。原則4-14②にて「上場会社は、取締役・監査役に対するトレーニングの方針について開示を行うべきである。」と定められています。
出典:「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(株式会社東京証券取引所)
役員研修の目的
役員研修の目的は大きく4つあります。それぞれ解説していきます。
企業の経営理念をあらためて理解する
まずは自社の経営理念、ミッション・ビジョンをあらためて理解し、役員としての正しいかじ取りをする必要があります。どうしても社員との心理的距離が生じてしまうため、交流は困難になりがちですが、その中で企業の目標達成のためにはどのように振舞うことが正しいのかを学びます。
業績を上げる
次に役員研修には、会社の業績を上げる目的もあります。役員は経営に大きく関わる幹部であり、事業運営への影響力は大きいです。研修で会得したスキルや知識は、経営の成果に直結することが多々あり、役員の能力が企業の業績を左右する可能性が大いにあるのです。
経営者の負担軽減
3つ目に経営者の負担を軽減するという目的があります。役員が経営幹部として十分なスキルを持っていれば、経営者の負担を軽減することができ、逆に能力不足だと負担が大きくなります。経営者にすべての判断を委ねるのではなく、役員が右腕として一緒にマネジメントを行えれば、経営者は中長期的な経営戦略を立てることができるなど、ゆとりが生まれ、企業にとって最善の選択をすることができるでしょう。
役員のスキル向上
最後は役員のスキル向上の目的のためです。役員は会社経営に携わるため、役員研によって求められるスキルを高める必要があります。このような研修は不定期開催ではなく、定期的に行い、役員候補の能力も伸ばしておきましょう。将来役員の中から経営者になる人がでるかもしれないため常に資質を高めておくことが重要です。
役員研修に盛り込む内容
役員研修には、ガバナンスや役員の責任などの基本的な知識や、人事労務に関して、情報漏えいを防ぐための情報セキュリティに関して、不祥事が起きてしまった時の危機管理対応などを盛り込むとよいでしょう。
以下4つのテーマに関して、盛り込む内容を詳しく見ていきましょう。
・基礎知識
・人事労務
・情報セキュリティ
・危機管理
基礎知識
役員が会社経営を行うにあたって、最低限知っておくべき基礎知識について学びます。
以下のような内容が考えられます。
・善管注意義務
・従業員との責任の違い
・コンプライアンス
・CSR
・ESG
・人権デューデリジェンス
・機関設計
・経営判断
・監視監督、監査
・コーポレートガバナンス
・グループガバナンス
人事労務
人事労務に関して役員が気を付けなければいけない点に関して学びます。
以下のような内容が考えられます。
・人事労務に関する役員の責任
・人的資本開示
・LGBTQ
・長時間労働・メンタルヘルス
・副業・兼業
・有期労働契約
・同一賃金・同一労働の原則
・ジョブ型雇用
・ハラスメント
情報セキュリティ
情報漏えいなどの不祥事を未然に防ぐために、役員としておさえておくべき情報セキュリティの知識について学びます。
以下のような内容が考えられます。
・個人情報保護体制
・個人情報漏えい時の対応
・企業秘密・営業秘密の保護
・産業スパイ対策
・知的財産の保護
・インサイダー情報
・他社との情報交換
危機管理
役員に求められる危機管理に関する責任や危機管理に関する具体的な内容、危機管理広報などについて学びます。
以下のような内容が考えられます。
・内部通報制度
・危機管理の調査と対応
・危機管理広報
これらの内容を裁判例なども含めて学ぶと、役員として気を付けなければいけないことを具体的に学ぶことができます。
役員研修の形態
ここでは、役員研修の2つの形態について紹介していきます。
集合研修
1つ目は集合研修です。研修企業が行う外部の研修に、様々な会社の役員が一堂に会すパターンです。
泊りの合宿タイプや1日がっつり行うタイプがあり、高額な場合が多いです。受講中すぐに不明点の確認ができたり、経営者同士でコミュニケーションがとれ、有益な情報交換ができるといったメリットがあります。
その他に自社に講師を呼んで研修してもらうパターンもあります。
eラーニング
2つ目はeラーニングです。動画を見て研修するタイプで、集合研修より比較的安価に受講できます。受講人数や場所に縛りがないことが多く、受講者が好きなタイミングで繰り返し学習することが可能です。アウトプットの機会がないため、集合研修と組み合わせて受講するとより効果的です。
役員研修成功のポイント
役員研修成功のポイントは、大きく分けて2つあります。それぞれ詳しく解説していきます。
目的を明確にする
役員研修は、受講することによって受講者や会社にどんなメリットがあるか明確にすることが大切です。
受講後、ビジネスでどのように活かせるか、会得できる能力など、具体的な成果やゴールイメージをあらかじめ描いておきましょう。また、役員研修は形式的に行うのではなく、役員や会社に役立てるようなプログラムてをするとよいでしょう。
主に上場企業が企業統治における手引きとして、参考にすべき原則や指針を示した「コーポレートガバナンスコード」においても「上場会社は、取締役・監査役に対するトレーニングの方針について開示を行うべきである。」と明示しているため、役員研修は必要となっています。
アフターフォローをする
どのような研修もインプットだけでなくアウトプットまで心がけましょう。
他の階層研修とは異なり、まわりからのフィードバックの機会に乏しいため、研修終了から一定期間経過後、フォローアップ研修を行い知識やスキルの定着度や実践できているか確認することも効果的です。
また、研修で学んだことを実践できる現場の提供など、受講者が研修の成果を活かせる場所を提供するアフターフォローも大切です。法の改正や他社の不祥事など、社会情勢により役員が知っておくべき情報は変化していくため、対象者向けにアップデートする機会を設けると良いでしょう。
効果的・効率的に役員研修を行いたい担当者様は「取締役・監査役トレーニング」をご検討ください。
eラーニングプラットフォーム「SUKU-SUKU Testing」では、役員研修として利用できるコンテンツ「取締役・監査役トレーニング」をご用意しています。
「取締役・監査役が知っておくべき基礎知識」「人事労務」「情報セキュリティ」「危機管理」の4つのカテゴリーがあり、役員研修でおさえるべき内容を網羅しています。
5~15分の動画と確認問題でスキマ時間で効率的に知識を定着させることができます。
管理用画面から受講状況やテスト結果が簡単に確認でき、グループ会社の役員や社外取締役の受講も簡単に管理ができます。
それぞれのカテゴリー受講後に行う総復習テストでは、結果をレーダーチャートで表示し、スキルを可視化することが可能です。
役員研修にぜひ「取締役・監査役トレーニング」をご活用ください。