リーダーシップ研修の設計方法|真のリーダーを育成する研修のポイント
リーダーシップ研修は、チームメンバーを率いる立場の社員に向けて、リーダーとしての心構えやスキルを身に付けてもらうための研修です。メンバーの自主性を引き出し、企業の組織力を底上げするためにも重要な取り組みです。しかし、どのように研修プログラムを作成したら良いか、頭を悩ませている企業様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、リーダーシップ研修の設計方法やプログラム例、研修のポイントについてご紹介します。
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リーダーシップ研修の前に改めて考えるべき「現代のリーダー像」とは
近年、時代の変化とともに求められるリーダー像が変わってきています。従来は部下をぐいぐい引っ張っていく人材が理想のリーダーとされていました。実際に、そういったリーダーが活躍して結果も伴っていました。
しかし、現代はソリューションを売る時代に変化しており、企業が顧客に提供するサービスやサポートが複雑化してきています。
加えてコンプライアンスにも厳しい世の中になっていることから、挑戦を恐れる社会人も増加しています。こういった時代背景から、部下が積極的にチャレンジできるような心理的安全性のある環境をつくれるリーダーが欠かせません。
またダイバーシティが推奨されており、現代のリーダーには異なるバックグラウンドや文化などを受け入れ、尊重できる人材が求められています。従来の「強く導く」ことよりも、フォロワーシップやスポンサーシップのようなスキルが注目されています。
このため、「リーダーシップ」という言葉の意味も「人を引っ張っていくこと」から「チームのマネジメントを担うこと」へ変化しました。こういったリーダー像の変化を踏まえて、どのような研修が良いか考えることが大切です。
リーダーシップ研修で身に付けさせたいスキル
現代のリーダーに求められるスキルとは何なのでしょうか。ここでは、リーダーシップ研修で身に付けさせたいスキルを3つご紹介します。
サポート力
サポート力とは、メンバーの目標やビジョンの達成を支援する力のことです。メンバーに対して適切なサポートをして、チームのパフォーマンス向上や個々のメンバーの成長を促進するためのスキルです。
サポート力のあるリーダーは、メンバーのモチベーションを高めるために、適切な目標設定やフィードバックを提供することができます。メンバーが困難な状況に直面した際にも、迅速にサポートして解決策を見つける手助けを行うなど、組織の活性化に尽力してくれます。
洞察力
リーダーはチームの方針を決める役割があるため、優れた洞察力が欠かせません。とくに、市場やニーズの変化が多い現代では、状況に応じて中長期的なビジョンを描いていく必要があります。洞察力のあるリーダーは、些細な変化から背景や今後の見通しを立てて、適切な目標設定をすることができます。
決断力
リーダーは常に重要な局面での選択を迫られます。その際に求められるのが決断力です。状況に応じて、組織が進むべき方向性を示したり、採用戦略を立てたりしなければなりません。
決断力のあるリーダーは、確固とした判断軸をもち、過去の経験や組織のビジョンから最適な方法を見出します。とくに、柔軟性が求められる組織のリーダーには欠かせない資質です。
責任能力
心理的安全性のある組織には、メンバーがミスをしても責任を取り、カバーできるような責任能力のあるリーダーが必ず存在します。責任感の強いリーダーは部下から慕われ、強い信頼関係を築くことができるため、メンバーの帰属意識を高める上でも重要です。
リーダーがメンバーからの信頼を損なうと、チームは一気に機能しなくなります。組織で起こるすべての事象に対して責任感をもてるようなリーダーに育てる必要があります。
リーダーシップ研修を設計する流れ
次に、リーダーシップ研修を設計する流れを4つのステップに分けて解説します。
1.研修の目的を明確にする
まず、研修の目的を明確にします。なぜリーダーシップ研修を行うのか、どのような成果を期待するのかを定義しましょう。目的は社員教育全体の指針となりますので、最も重要な要素です。企業のビジョンや経営戦略などもふまえながら、言語化していきましょう。
目的が決定したら、新任リーダー、中堅社員、管理職など、研修の対象者も決定します。
2.目的に沿って研修のカリキュラムを決める
目的を設定したら、研修のカリキュラムを具体的に決めていきます。リーダーに求められるスキルや役割は職位や経験に応じて異なりますので、対象者に応じて最適なセッションを計画しましょう。
なお、リーダーシップ研修の実施を外部に委託する場合は、自社の抱えている課題や目標をきちんと共有することが大切です。入念に打ち合わせを行い、自社のニーズに合ったカリキュラムを作成してもらいましょう。
3.研修の実施形式を決める
次に、研修の実施形式を選択します。リーダーシップ研修の実施方法としては、以下が挙げられます。
実施形式 |
内容 |
座学型研修 |
主に講義形式で行い、理論やフレームワークを伝えます。 |
ワークショップ型研修 |
グループでの演習やワークを中心に行うなど、実践的な内容に焦点を当てます。ロールプレイやチームプロジェクトを通じてすぐに業務に応用できる技術を身に付けます。 |
オンライン研修 |
Web会議システムなどを活用するため、離れた拠点でも受講できます。あらかじめ録画した教材を配信するオンデマンド型や、生中継するライブ配信型などがあります。 |
eラーニング |
インターネットを通じて行う研修で、参加者は自分のペースで学習可能です。既成コンテンツを搭載できるため、教材を準備する手間が省けます。時間と場所に制約がなく、多忙な社員の研修にも適しています。 |
実践的な内容をカリキュラムに入れるか、自身のペースで着実に学んでもらうべきかなど、多角的に検討しましょう。いくつかの形式を組み合わせる方法も有効です。
4.研修の実施・評価
リーダーシップ研修の企画を設計したら、いよいよ実施します。研修後は評価を行い、対象者に適切なフィードバックを行いましょう。フィードバックは成績評価だけでなく、改善が必要な点についても伝えます。フィードバックは具体的かつ建設的な内容を心掛け、受講者が自己成長を促進できるようにしましょう。
最後には、リーダーシップ研修の振り返りも行います。プログラム自体に改善点がないか、受講者からのアンケートや実際の成績データを活用して、次回の研修に向けて調整しましょう。
リーダーシップ研修のプログラム例
リーダーシップ研修が具体的にイメージできない方も多いでしょう。ここでは、リーダーシップ研修のプログラム例をご紹介します。
新入社員向け
以下は、新入社員向けのリーダーシップ研修のプログラム例です。
1.リーダーシップの基本 |
2.チームビルディング |
中堅社員向け
以下は、中堅社員向けのリーダーシップ研修のプログラム例です。
1.チームリーダーシップ |
2.問題解決と意思決定 |
3.リーダーシップの実践 |
管理職向け
以下は、管理職向けのリーダーシップ研修のプログラム例です。
1.プロジェクトマネジメント |
2.戦略的リーダーシップ |
3.リーダーシップの実践 |
リーダーシップ研修で真のリーダーを養成するポイント
ここでは、リーダーシップ研修で真のリーダーを養成するためのポイントを解説します。
身に付けてほしいスキルは優先順位を決める
優秀なリーダーを育てたいからといって、カリキュラムを詰め込むことは避けましょう。すべてを習得するのは困難ですし、かえってコストパフォーマンスが悪くなります。身に付けてほしいスキルに優先順位を付けて、一つひとつ習得させるのがポイントです。
知識を定着させる仕組みをつくる
チームを牽引するリーダーは、一朝一夕で育つものではありません。中長期的な教育施策になることを前提に、知識・スキルを定着させる仕組みをつくることも大切です。
例えば、研修の前後にeラーニングを活用すると学習効果を高められます。研修前に予習を行い、研修後に理解度テストをすることで、学んだ内容が身に付きやすくなります。eラーニングを利用すると各受講者のテスト結果を確認できるため、対象者の傾向や研修内容の改善点を見つけるのにも役立ちます。
eラーニング活用の際は、イー・コミュニケーションズのeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」をご検討ください。ユーザーのアクセス状況、使い勝手、要望をもとに日々開発を進めているため、学習効果を高めるための必要な機能が揃っています。
知識定着にテストを用いるテストエデュケーションで学習できるため、知識の習得に高い効果が期待できるでしょう。
リーダーシップ研修に活用する場合のコンテンツ内容や運用方法についても支援いたしますので、初めて導入する企業様でも安心いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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フィードバックの場を設ける
リーダーシップ研修を終えたら、フィードバックの機会も用意しましょう。上司や講師からフィードバックをもらうことで、受講者は自身のリーダーシップスキルについて客観的に把握できます。具体的なアクションポイントを提供することで、これから何をすべきなのかも明確になり、スムーズな成長に期待できるでしょう。
まとめ
リーダーシップ研修は企業の組織力を上げるために欠かせない取り組みです。しかし、時代とともに求められるリーダー像は変化しているため、リーダーシップ研修を行う際は時代や企業のニーズに合ったカリキュラムを作成することが大切です。研修の目的を明確にし、企業の発展につながる研修を実施しましょう。