インストラクショナルデザイン活用で研修効果を最大化!基礎知識と導入のメリット
企業における研修・教育に関して、以下についてお悩みではないでしょうか?
・現状の研修プログラムが不評
・学習成果の向上が見込めない
・より効果的で魅力的な新しいアプローチを模索している
そんな方におすすめなのが「インストラクショナルデザイン」という概念です。
多くの企業がすでに取り入れ、オンライン研修・eラーニングの開発と実施を進めています。
この記事では企業の人材育成や研修を担当する方に向けて、インストラクショナルデザインの概念や研修への効果的な取り入れ方を解説していきます。
目次[非表示]
- 1.インストラクショナル デザインとは?
- 1.1.インストラクショナル デザインとは?
- 1.2.インストラクショナル デザインの役割
- 1.3.インストラクショナル デザインの目的
- 1.3.1.① 学習成果の効率的な向上
- 1.3.2.② 学習環境の改善
- 1.3.3.③ 学習者のモチベーション維持
- 2.インストラクショナルデザインを基にした企業研修のメリット
- 3.インストラクショナルデザインの手順「ADDIEモデル」
- 3.1.「ADDIEモデル」とは?
- 3.2.「ADDIEモデル」の手順
- 4.まとめ
インストラクショナル デザインとは?
ここでは、インストラクショナル デザインの「定義」「役割」「目的」について、ひも解いていきます。
インストラクショナル デザインとは?
インストラクショナルデザインとは「効果的・効率的・魅力的」な学習効果を引き出すため、教育内容をシステマティックに設計するアプローチのことです。
インストラクショナル デザインの役割
インストラクショナルデザインが学びの手法として日本で広まっている背景には、2000年代初頭から普及したeラーニングの影響があります。
eラーニングは、パソコンやスマートフォンを使って学ぶ便利さがある反面、講師と直接対面できないため、学習者の理解度や雰囲気の把握が難しいデメリットも存在していました。
インストラクショナルデザインはこの課題に対応し、教育だけでなく、経営や戦略を含む全体の環境を分析し、最適な学習手法の見極めに役立つものです。
2020年以降、コロナ禍で進んだテレワークと教育研修のオンライン化はインストラクショナルデザインの重要性を一層高めています。
インストラクショナル デザインの目的
インストラクショナルデザインには、3つの大きな目的があります。それぞれについて解説していきます。
① 学習成果の効率的な向上
単に理解することを超え「行動できる」能力を重視します。これにより、実践的なスキルをもった人材の育成が可能です。
② 学習環境の改善
インストラクショナルデザインは学習開始前の段階で分析方法が決まっており「学習プロセスの計画」「実行」「測定」「分析」「プロセスの見直し」というステップを通じて、学習環境をシステマチックに整備します。
③ 学習者のモチベーション維持
動機付け理論を活用することで、学習者が自信をもち、積極的に学習に取り組めるよう支援します。これにより学習者のモチベーションを高いレベルで維持することができます。
インストラクショナルデザインを基にした企業研修のメリット
① 目的に対して効果的な教育手法を設計できる
企業研修の真の目的は「理解すること」にとどまらず「〇〇ができるようになる」という具体的な行動変化を促すことです。
インストラクショナルデザインを採用すると、目的に沿った効果的な教育手法を設計し、研修後の成果の測定が可能になります。
学術的に立証された理論やモデルに基づいており、効率的に短時間で高い効果を期待できます。
人材不足が顕著な今日、社員の時間を有効に使い、必要な変化を促すインストラクショナルデザインの手法は企業にとって不可欠なものといえます。
② 教育訓練コストを削減できる
インストラクショナルデザインの考えを適用することで、企業研修の効率化とコスト削減が実現します。
例えば、研修の第一ステップに事前テストを組み込み、研修が必要な人・不必要な人の選別を行ったり、研修以外の解決策を選択したりすることで無駄な研修を削減できます。
インストラクショナルデザインの考え方では必ずしも教育手法として研修が最適ではない場合もあります。無駄な研修を削減できれば教育訓練コストを下げることも可能になるでしょう。
③ 明確な目標設定で、学習意欲を高められる
インストラクショナルデザインを採用した企業研修では、受講者が自ら「学びたい」と感じ、研修に意義を感じるよう導きます。
「動機づけの理論」を活用し、受講者の興味・関心を刺激することで、研修はさらに魅力的なものとなり、受講者は高いモチベーションをもって能動的に学習を進めることができます。
「何のために努力しているのか」を理解しやすい適切な目標設定を行うことで、受講者は学習の目的とその達成に向けたやりがいを実感しながら、自発的に学習を進めることが可能になります。
インストラクショナルデザインの手順「ADDIEモデル」
インストラクショナルデザインを活用した研修設計の代表的な理論として「ADDIEモデル」があります。
ここからは、ADDIEモデルの内容について解説していきます。
「ADDIEモデル」とは?
インストラクショナルデザインにおいて最もポピュラーなADDIEモデルは
① Analysis(分析)
② Design(設計)
③ Develop(開発)
④ Implementation(実施)
⑤ Evaluation(評価)
の5つの要素で構成されています。
まずは課題を分析し、課題に合う手法の設計を行い、その後開発を行って実行し、最後に評価を行う。それがADDIEモデルです。
ADDIEモデルを活用すると効果の高い研修設計が可能になります。
次から詳細な手順について解説していきます。
「ADDIEモデル」の手順
1. 分析
ADDIEモデルの最初のステップは「分析(Analysis)」です。
この段階では組織の現状と課題を深く理解し、研修の内容、使用する教材、評価基準を定めます。
具体的には
・研修が必要かどうか
・研修以外のアプローチが可能か
・どんな教材を選ぶか
・教育対象者はどんな人材にするか
・ビジネスにどんな影響があるか
・前提知識はどのくらい必要か
・現場リーダーの教育意識はあるか
・現場との連携体制はどうなっているか
といった状況を把握していきます。この初期段階での正確な状況把握は、研修の効果を最大化するために不可欠です。
2. 設計
ADDIEモデルの「設計(Design)」段階では、分析で得た情報を基に、学習プログラムの具体的な設計を行います。
このプロセスでは
・教育の全体像を設計図にまとめる
・各アプローチを設計図にまとめる
・実施プログラムを決める
・必要なコンテンツを準備する
など、研修の計画を細部にわたって定めます。
なかでも目標設定は特に重要です。「〇〇を理解する」ではなく、「〇〇を使って、◇◇ができるようになる」など、具体的な行動を設定する必要があります。
3. 開発
ADDIEモデルの「開発(Develop)」段階では、設計された計画に従って実際の教育内容を具体化します。
例えば「どの教材を使うか」「市販のものを使うか」「Webから活用できるものがあるか」のような内容です。eラーニング教材を開発する際は、アクセス問題への対応策も考慮しておきましょう。
効率的な開発を進めるためには、作業の責任範囲を明確にし、進捗を共有することが大切です。
例えば複数メンバーでの作業では
① 共通テンプレートを1つ用意し、素材を組み込んでいく
② 1つのコンテンツ完成後、同コンテンツをコピーして別のコンテンツを作成する
のどちらかの手法を採用しましょう。
教材チェックはさまざまな段階で行うことで、効率的かつ無駄のない教育内容の開発を目指していきます。
4. 実施
ADDIEモデルの「実施(Implement)」段階では、完成した学習プログラムを用いて研修を実行します。
この段階での主な作業は、受講者への研修内容とスケジュールの通知、受講状況や進捗の監視、そして研修中に発生する可能性のあるトラブルへの対応です。
また教材や受講者リストの管理、学習管理ツールの活用もこの段階で重要となります。
開発された教材が予定通りに機能し、受講者がスムーズに学習を進められるよう、運用面での注意とサポートは不可欠です。こうして実施された研修の効果は、次の「評価」段階で分析されます
5. 評価
ADDIEモデルの最終段階「評価(Evaluate)」では、実施された研修の効果を検証します。
このプロセスには、受講者の習熟度や受講前後の行動変化を測定し、設定した学習目標に対する達成度を評価する作業が含まれます。
目標達成に至らない場合は問題点を特定し、教育プログラムの再構築や再教育を通じて改善を図ります。
この評価を通じて
・研修の成果の有無
・不十分だった場合の原因分析
・改善点の特定
を行い、次回の研修計画に反映させていきます。
まとめ
ここまで、インストラクショナルデザインの基礎知識や導入時のメリット、ADDIEモデルの解説を行ってきましたが、いかがだったでしょうか。
情報が指先一つで手に入る今、企業研修では知識をいかに活用し、行動できるかが重視されます。
インストラクショナルデザインの導入は、職場で本当に必要とされる行動変容を促すキッカケとなるはずです。
新たな価値を生みだすインストラクショナルデザインの考え方を、研修にぜひ取り入れてみてくださいね。
また、企業研修にインストラクショナルデザインを導入する際は、イー・コミュニケーションズのeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」の活用をご検討ください。
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