人材管理とは?競争力を高める管理方法の特徴・メリットと目的別システム
人材管理の重要性が言及されるようになっています。ヒト・モノ・カネの3つの資源のうち、最も大切と言えるヒトの管理に当たりますが、具体的な内容がわかりにくいと感じたことはないでしょうか。
この記事では、モデル・目標となる管理方法の特徴のほか、目的に合わせたシステムについてまとめます。企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.人材管理とは
- 1.1.類義語との違い
- 2.人材管理の内容
- 3.人材管理のメリット
- 3.1.➀経営戦略の実現
- 3.2.②競争力の向上
- 3.3.③労働環境の改善
- 3.4.④社員のモチベーション・エンゲージメント向上
- 4.導入モデルとなる欧米型人材管理の特徴
- 4.1.➀同一労働同一賃金
- 4.2.②外部からの職種別人材調達
- 4.3.③スぺシャリストとジェネラリストの分離
- 5.人材管理システムの種類・機能
- 5.1.➀人材マネジメントシステム
- 5.2.②目標管理・評価システム
- 5.3.③人事労務管理システム
- 5.4.④採用管理システム
- 6.社員の能力向上の学習ならイー・コミュニケーションズにご相談を
人材管理とは
「人材管理」とは、企業活動の成果を最大限にするために企業に必要な人材を採用・育成・配置することをいいます。
「管理」というと、「縛る」「統制する」というニュアンスを感じるかもしれません。しかしそのような意味での「管理」ではなく、ここでの「管理」は「適切に活用する」ことを指します。似ている言葉に「人材マネジメント」がありますが、それとほぼ同義と考えてよいでしょう。
類義語との違い
そのほか、意味の違いが分かりにくい言葉に「人事労務」があります。どのような意味の違いがあるのでしょうか?
「人事労務」は、定常的な業務としての評価・異動、福利厚生などを指します。これに対して「人材管理」は、成果を最大限にするための育成や配置です。より効果を高めるため、経営戦略に基づいて行います。
人事労務はルーティーン的な業務、人材管理は戦略的な業務という点で異なっています。
人材管理の内容
具体的に、企業活動のどのような場面で人材管理が関係するかまとめます。以下の点が挙げられます。
採用
育成
配置
評価
処遇
1つずつ見ていきましょう。
➀採用
人材管理が関わる人事業務として、まず採用が挙げられます。採用に際しては、事前に現在在籍している社員のスキルなどを把握しておきます。戦略と比較して不足している人材像を明確にし、足りないスキルを持つ人を募集します。
求人広告など募集活動にもそれを反映させ、採用の基準も決めておきます。募集者の中から条件に合致する人を採用します。
採用により自社に不足している必要な人材を補います。
②育成
人材の育成も、人材管理が深く関わってきます。
やはり初めに現在の社員のスキルを把握し、戦略と比較します。比較によって不足しているスキルを明確にし、不足を解決するような教育を行います。
具体的な方法にはさまざまな方法があります。OJT・研修・eラーニングなど自社に合った形を選択して行いましょう。社内にそのスキルを持つ社員がいればOJTなど、いなければ外部の研修やeラーニングを活用することになります。
また、育成の対象も適性のある社員を選抜するのか全体に行うのか、求めるスキルや戦略によって異なります。
人材の育成は、内部の人材の発掘・有効活用が重要となります。そのためには社員のスキルや経歴・経験の把握が必須です。
③配置
人材の配置も、人材管理の一環です。スキルなどに基づいた適材適所の配置を行います。採用や育成によって必要なスキルを持つ人物を確保しても、そのスキルを活用できる部署にいなければまったく意味を成しません。
いったん配置した後も定期的に見直しを行い、ミスマッチを減らします。スキルのミスマッチだけでなく、社員本人の希望のミスマッチを減らす努力も必要です。
近年は働き方の多様性も求められるようになっていることもあり、注意して行いましょう。
④評価
社員を評価することも人材管理の一部です。業績や仕事ぶりに応じた適正な評価を行います。評価方法には、MBO・コンピテンシー評価・OKR・360度評価などさまざまな手法があります。自社の社風や方針に合った方法で評価しましょう。評価の基準はオープンにし、納得感のある評価を目指します。
適切な評価は、採用のしやすさや社員の定着・モチベーションなどにかかわる重要なポイントとなります。能力のある社員に実力を発揮してもらうためにも、よく検討の上実施しましょう。
⑤処遇
評価に応じた処遇も人材管理の一環です。処遇としては給与・賞与・ポジションなどが挙げられます。業績や成果を上げた社員は、働きに応じた処遇を与えましょう。
評価以上に直接的に、社員の確保・定着やモチベーション・エンゲージメントに強く影響します。適切な処遇が与えられなければ、スキルのある社員が流出してしまいます。それを避けるためにも、評価を処遇に反映させる仕組み作りは必須です。
人材管理のメリット
人材管理を行うメリットをまとめます。具体的には次の4点が挙げられます。
経営戦略の実現
競争力の向上
労働環境の改善
社員のモチベーション・エンゲージメント向上
1つずつ見ていきましょう。
➀経営戦略の実現
人材管理を行うことは、経営戦略を実現させることにつながります。人材管理は、基本的に経営戦略に基づいて設計・実施します。人材面から戦略を具体的な施策の形に落とし込み、成果に結びつける推進力となるのが人材管理です。
人材管理を行わないと、経営戦略を実現できないという表現の方が適切かもしれません。経営戦略を立てても具体的な施策としなければ、絵に描いた餅で終わるのは想像に難くないのではないでしょうか。とくにヒトは企業の資源の中でも将来性を左右する要素です。人材管理は重要だと言えるでしょう。
②競争力の向上
人材管理は、自社の競争力の向上をもたらします。
人材管理を行うことによって、人的資源が有効に活用されます。その結果、生産性が向上し増産や販売量アップが見込めます。またサービスや製品の品質も向上が期待できます。高い品質の製品は売れやすくなります。
これらにより、市場における競争力を向上させることができます。
③労働環境の改善
人材管理は労働環境の改善にもつながります。
生産性の向上によって、従来より短い時間で同等の結果が得られるようになります。その結果、労働時間の短縮が可能となります。
また生産性の向上によって増産したり品質の向上で販売数が増えたりすれば、業績も向上することが期待できます。業績がアップすれば、賞与や給与などの面でも待遇をよくすることが可能となります。
人材管理によって、いろいろな側面から労働環境が改善される可能性があります。
④社員のモチベーション・エンゲージメント向上
人材管理は、社員のモチベーションやエンゲージメント向上にも役立ちます。
適材適所や適正な評価・処遇が行われると、社員のやりがいや満足感・充実感がアップします。それに伴い、社員のモチベーションやエンゲージメントが向上します。
その結果、職場の雰囲気がよくなったりコミュニケーションが密になったりします。それにより業務がスムーズになるなど、さらにスパイラルで業績が向上することが可能となります。
導入モデルとなる欧米型人材管理の特徴
人材管理の導入が日本で進んでいるのは、新卒重視の採用や終身雇用など日本的な管理手法の行き詰まりが背景にあります。日本型の管理手法は「メンバーシップ型」とも言われ、人を集めて仕事を割り振る「人に仕事を付ける」ものです。
人材管理のモデルとなっているのは欧米型の「ジョブ型」の管理です。ジョブ型の最大の特徴は「ジョブディスクリプション(職務記述書)」によってポストに合わせて人を探す「仕事に人を付ける」点です。
ただし、急速な路線変更は社内の混乱の原因になりかねません。段階的に導入して、導入のつど全体を俯瞰的に見て最適化しつつ少しずつ改善していくことが望ましいと言えるでしょう。
次に、欧米型管理の特徴をまとめます。
同一労働同一賃金
外部からの職種別人材調達
スぺシャリストとジェネラリストの分離
1つずつ見ていきましょう。
➀同一労働同一賃金
「同一労働同一賃金」は、雇用形態や労働者の属性(性別・学歴・勤続年数など)にかかわらず、同じ仕事をする労働者は同じ賃金を得ることです。
日本的なメンバーシップ型では年功序列で報酬が決まりますが、仕事に人を付けるジョブ型では仕事の内容で報酬が決まります。
なお同一労働同一賃金は日本でも2021年4月に義務化されました。そういった意味でも、日本企業全体がジョブ型に移行していく可能性が高いと言えます。
②外部からの職種別人材調達
欧米的なジョブ型の管理では、外部から人材を調達する傾向が強いという特徴があります。職種別・職務別の採用が一般的で、社員を異動させることが基本的にありません。そのため、ポストが空くと外から補充するしかないためです。
それもあり、新卒採用にこだわらず中途採用も盛んに行われています。また人事部主導ではなく現場主導の合理的な採用が行われます。日本でも少子化による若年人口の減少や人材の流動化という点からも、ジョブ型雇用が進む可能性があります。
③スぺシャリストとジェネラリストの分離
欧米では、早い時期にスペシャリスト(専門性の高い人)とジェネラリスト(経営的視点のある人)に分けてキャリア開発を行います。仕事に人を付けるために、その仕事に合うスペシャリストを求める傾向が強くなるからです。
終身雇用が前提となるメンバーシップ型では、長い時間をかけてさまざまな経験を経たジェネラリスト的な人材を育成してきました。しかし現在はテクノロジーの発達などにより業務の進化や専門化が進んでいます。今後は今まで以上にスペシャリストが求められる傾向が強まると考えられます。なお、ジェネラリストが不要となるという意味ではないのでご注意ください。
人材管理システムの種類・機能
次に、人材管理システムにはどのような種類があるかまとめます。
人材の管理にシステムを活用するケースが多くあります。人材管理システムはいくつかのタイプがあり、目的によって適したタイプを選ぶ必要があります。ここでは次の4つのタイプについてまとめます。
人材マネジメントシステム
目標管理・評価システム
人事労務管理システム
採用管理システム
サービスによっては、ほかのシステムと連動できるものもあります。1つずつ見ていきましょう。
➀人材マネジメントシステム
まず、人材マネジメントが中心的な機能となるシステムがあります。学歴・経歴・スキルなど人材情報の一元管理を行うことができます。
データの中から条件を設定して検索・分析などを行うことができます。スキルや経歴で人材を抽出できるので、新規事業の適任者やそれに近い適性を持つ社員を見つけることが可能です。また社員全体のスキルを俯瞰することで、社内に不足しているスキルをあぶり出すこともできます。適任者を見つけた場合、異動のシミュレーションを行うことも可能です。
スキルの管理ができるので、この記事でまとめた人材管理の内容のうち、とくに「育成」や「配置」に役立てるのに適したタイプだと言えるでしょう。
②目標管理・評価システム
目標管理や人事評価の管理ができるシステムもあります。ほとんどの企業では人事評価に業績評価を取り入れているでしょうが、その際の目標管理と評価に役立ちます。
本人による目標や自己評価の入力、上司によるコメントや最終的な評価の入力・管理が可能です。テンプレートを使用したり自社で項目を設定したりして、評価シートを作成することも可能です。
目標と評価を可視化することができ、人材管理の内容のうちとくに「評価」「処遇」に活用したい場合に適しています。
③人事労務管理システム
人材管理システムには、労務関連のシステムもあります。出退勤の時刻の管理や、社会保険・雇用保険関連手続きなどが一括で行えます。
この記事で言う人材管理より、よりルーティーンな実務向けのシステムです。
④採用管理システム
採用管理システムも人材管理に活用できます。求人内容の情報・応募者の情報・採用過程、内定者などの管理を行うことができます。
そのほか面接の日程調節・応募者との連絡・内定者とのコミュニケーションツールなどの機能があるシステムもあります。
人材管理の中でも「採用」中心のタイプです。システムによっては、タレントマネジメントのシステムと連動させて採用から就労後まで情報を活用できるものもあります。
社員の能力向上の学習ならイー・コミュニケーションズにご相談を
人材管理として、社員の「育成」は重要な意味を持ちます。人的資源の有効活用に直結するからです。若年人口の減少に伴い、新しい社員の補充が難しくなっています。今いる社員のスキルアップは、人材管理においてますます重要となっていくでしょう。
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