catch-img

替え玉受験の事例から学ぶ、不正防止対策と試験システムの機能を紹介

近年、オンライン試験が多くの試験現場で活用されてきている一方で、不正行為も増加しています。
試験運営者は不正防止の重要性を認識し、システム選択に際してこれらの機能を考慮する必要があります。
本記事では、不正防止方法とオンライン試験システムがいかに試験運用をサポートするかについてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.人が不正をしてしまう仕組みとは
    1. 1.1.替え玉受験を依頼する心理とは?
  2. 2.オンライン試験における不正行為と問われる罪
    1. 2.1.オンライン試験における替え玉受験とは
    2. 2.2.替え玉受験による法的責任とは
  3. 3.替え玉受験以外にも行われる可能性がある不正とは
    1. 3.1.ウェブサイトなどを使用したカンニング
    2. 3.2.他者とのコミュニケーション
    3. 3.3.試験の解答、問題内容の流出
  4. 4.オンライン試験の不正防止機能とは
    1. 4.1.本人認証
    2. 4.2.ウェブ検索の制限
    3. 4.3.出題のバリエーションを豊富に
    4. 4.4.監視員による認証・監視
    5. 4.5.AIによる解析
    6. 4.6.同時受験の実施
    7. 4.7.セキュリティの強化
  5. 5.オンライン試験システムをうまく活用して不正行為の防止を実現しましょう

人が不正をしてしまう仕組みとは



受験の不正を未然に防ぐことは、教育現場や試験運営の重要な課題です。
なぜ人は不正をしてしまうのでしょうか?
不正を犯す背景には、心理的、環境的要因が複雑に絡んでいます。

人が不正をしてしまう仕組みをモデル化した理論を「不正のトライアングル」といいます。
不正行為をする人の心理について、不正のトライアングル理論の観点から見てみましょう。

1 機会
機会とは不正を行う機会があることです。
オンライン試験では、遠隔で受験することができるため、不正行為を行う機会が与えられます。試験監督や監視が不十分な場合、受験者は自身の利益のために不正を行う機会に誘われることがあります。

2 動機
動機とは不正を行う動機や誘因があることです。
不正行為を行う動機はさまざまです。成績や評価の重要性への焦り、競争の激化、または他の受験者との比較によるプレッシャーなどが挙げられます。また、自己の価値を確立するために不正行為を行うこともあります。

3 正当化
正当化とは不正を正当化できる理由があることです。
不正行為を正当化する理由は人によっては様々です。例えば、他の人も同じようなことをしているから、自分が損をするわけではないなどの理由によって、不正行為を正当化することがあります。

試験運営者は、この理論に基づき対策を考える必要があります。
例えば、不正ができない環境の整備や圧力の軽減、倫理教育の強化などがあります。

替え玉受験を依頼する心理とは?

オンライン試験は利便性から多くの教育機関や試験運営者に導入されています。同時に遠隔での受験など、物理的な監視が困難な環境なため、不正行為をしてもバレないという心理になることがあります。

また、「オンライン試験はカンニングしやすい」という一般的なイメージがあるのは、調査からも明らかになっています。
「一般財団法人全日本情報学習振興協会」が2022年3月に「カンニングする人の心理」に関する調査の集計結果を発表しました。この調査は「資格試験や国家試験でカンニングをしようと思ったことがある人」を対象にしたものです。
それによると、カンニングしやすい試験環境を挙げてもらう質問で「オンライン試験」を挙げた人は30.9%いました。これは、「試験監督の監視が甘い」(63.6%)・「持ち込みチェックが甘い」(39.2%)に次いで3番目です。
しかも「オンライン試験なら容易にカンニングできそうだと思いますか?」の問いには、「とてもそう思う」が36.6%、「ある程度そう思う」が42.4%という回答結果でした。つまり「オンライン試験」という試験形式がカンニングしやすいと思う人は、全体の約8割だったのです。
「カンニングしやすい試験環境」の回答上位2つの特徴が、オンライン試験に当てはまると考えている人が多いのではないかと考えられます。
だからこそ、オンライン試験の不正対策をすることは重要です。
試験運営者は様々な不正に対策できるようなオンライン試験システムを使用する必要があります。

オンライン試験における不正行為と問われる罪


ここではオンライン試験における不正行為のひとつである替え玉受験の具体的な逮捕例を取り上げ、その法的リスクについて詳細に解説します。

オンライン試験における替え玉受験とは

2022年11月に企業の採用試験の一環として行われたWebテストで「代行業者」の会社員が学生の替え玉となって受検したとして逮捕されたという事件がありました。
会社員はSNSでWebテスト代行をうたい、就活生になりすまして受検することで報酬を得ていました。半年で約300人の依頼を受けていたとされます。
どのように実行してたのかと言うと応募者本人がログインした上で代行業者と画面共有、ヘッドフォンをした応募者に業者が別の場所から音声で指示を出していました。
Webテストの代行はそれ以前から横行しているとの指摘がありましたが、摘発は今回が全国で初めてでニュースにも取り上げられました。

不正行為に対する取り締まりが強化されている現状を踏まえ、試験運営者や教育関係者がこの問題を深刻に理解し、適切な対策を講じる必要があります。

替え玉受験による法的責任とは

近年、替え玉受験で逮捕される事例が増えています。
この替え玉受験では重大な法的責任が伴います。請負人と依頼者でどのような罪が問われるかを見ていきましょう。

請負人が問われる罪
有印私文書偽造罪、偽造私文書行使罪、偽計業務妨害罪や、建造物侵入罪などの罪に問われるリスクがあります。
オンラインでのWebテストの場合は「文書」を用いることや、「建造物」へ侵入することがないので、これらの罪には問われませんが、電磁的記録不正作出・供用罪が成立する可能性があります。
電磁的記録不正作出・供用罪とは、人の業務を意図的に誤らせるために、その業務に関連する権利、義務、または証拠を示す電子記録を不正に作成したり、供することをいいます。
電磁的記録不正作出・供用罪は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

依頼者が問われる罪
替え玉受験を依頼した人と依頼を受けた請負人は「共犯」の関係にあり、替え玉受験での犯罪は実行犯と同じ刑が課せられることがあります。
例えば、Webテストの替え玉受験で実行犯が電磁的記録不正作出・供用罪が成立した場合、依頼者も5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

替え玉受験以外にも行われる可能性がある不正とは


Webテストによる不正行為は替え玉受験以外にも様々です。
他にどのような不正があるかを知ることによって、より不正対策に取り組むことができます。
それぞれ見てみましょう。

ウェブサイトなどを使用したカンニング

隠し持っていた携帯電話を使い監督官から見えない状態でカンニングする不正もありました。

実例として、2011年に京都大学の入学試験中に英語と数学の問題の一部がインターネットの質問サイトに投稿された事件がありました。
発覚後の調査で、他の大学の試験中にも同じアカウントから入試問題が投稿されていることが判明。多くの質問には試験時間中に解答がありました。問題を投稿された大学側が警察に被害届を提出。
捜査の結果いずれも同一の携帯電話からの投稿と判明し、電話を使用していた予備校生が逮捕されました(のちに不処分)。
隠し持っていた携帯電話を使い監督官から見えない状態で問題を入力、投稿していました。数学の記号などは辞書登録してあったといいます。

他者とのコミュニケーション

オンライン試験におけるコミュニケーションを利用した不正もあります。
オンライン試験では、受験者が他の受験者や外部の人物と意図的にコミュニケーションを取り、不正行為を行うリスクがあり、試験運営者にとって深刻な問題です。
手紙や無線通信を利用した古い手段から、ソーシャルメディアを通じた不正など、新しい手口まで、方法は様々です。

実際に、2016年に行われた国家資格「運行管理者」の試験において、スマートフォンを使った不正事件がありました。
試験を途中退出した受験者1人が、試験会場にいる受験者8人に解答をスマートフォンでメール送信。受信した受験者が送信された内容を写して解答するという9人が関わる集団カンニングです。
1人は試験中に不正が発覚し失格となりましたが、スマートフォンによる不正だったことから試験を実施する公益財団法人が警察に通報。後日集団による不正だったと判明しました。途中失格の1人を除く8人は合格していましたが、資格者証の返納命令が発令されました。

試験の解答、問題内容の流出

試験問題や解答の流出リスクも増大しています。
2022年1月、大学入学共通テストにおいて試験中に問題用紙の画像が流出したという事件がありました。
後日19歳の受験生が警察に出頭し、保護観察処分となっています。受験生は家庭教師紹介サイトに高校2年生として登録。家庭教師を募集し、応じた2人の大学生に「家庭教師としての実力を測りたい」と試験中に問題を撮影して送信。大学生は入試問題とは気づかずに解答を返信していました。不審に思った大学生が大学入試センターに届け出て事件が発覚しました。

このような不正行為が大学の校内での試験などではすでに問題視され、対応が始まっています。

具体的なカンニング例やカンニング対策にはこちらも参照してください

オンライン試験の不正防止機能とは


この記事では、替え玉受験や不正行為を未然に防ぐための方法をご紹介します。
具体的には以下の方法があります。

・本人認証
・ウェブ検索の制限
・出題のバリエーションを豊富に
・監視員による認証・監視
・AIによる解析
・同時受験の実施
・セキュリティの強化

これらの方法を実践することで、厳正・厳格な資格試験をオンラインでも実施することが可能になります。
では、それぞれ見ていきましょう。

本人認証

オンライン試験の信頼性を確保するために、本人認証システムがあります。
受験の際にパソコンのカメラで身分証と本人の撮影を行うことで、AIによる認証が可能なものがあります。
また、AIではなく人による認証も可能です。
試験運営者にとって、このシステムは替え玉受験を含むさまざまな不正行為を効率よく防止するためにも重要なツールです。

ウェブ検索の制限

ウェブ検索を制限することで、ウェブサイトを利用したカンニングを防ぐことができます。
テスト実施中に端末操作を制御できるシステムも開発されています。
複数ディスプレイの接続の検知や、画面キャプチャの起動を検知することができるシステムもあります。

出題のバリエーションを豊富に

出題のバリエーションを豊富にすることで不正対策を強化します。
個々の受験者に異なる順番で問題を提供したり、答えの選択肢の順番を入れ替えることも、不正への試みの機会を減らすことができます。
また、問題の難易度や出題範囲を一貫して保つことができれば、受験者によって問題を変えて出題することで
問題の流出を防ぐことができます。

監視員による認証・監視

オンライン試験システムでは、監視員による認証・監視する機能があります。
受験者が監視されていると感じることは、不正を抑止することにも繋がります。

また、不正を行った場合、監視員によって不正だと思われる行為を受験中に受験者へ通知したり、怪しい箇所をマーキングすることによって受験終了後に試験担当者がその部分を確認することも可能です。
このような機能によって、試験会場に行かずとも試験監督がいるのと同様の試験を受けることが可能になります。

AIによる解析

上記では人による監視でしたが、AIによる監視・解析システムもあります。

AIによる解析も監視官の監視と同様に試験中の受験者をリアルタイムで監視できます。このシステムは受験者の挙動を細かく追跡し、顔の向きや目線、動作などを解析します。
受験者の回答時間や画面への視線の動き、動作等からAIが不審な行動を学習します。
リモート試験監視システムのRemote Testingでは不正の疑いがある場面を取り出し、ストリーミング再生することも可能です。

Remote Testing は試験に特化したAIが受験者の動きを解析するため、オンライン試験の信頼性を高めることができます。また、試験中に試験を監督する人を省けるため、人件費や、試験運営者の負担を軽減できます。
Remote Testingでは受験中の様子を録画するため、録画中の映像が受験者が見えるところに表示されます。受験者も監視されているという意識をもたせ、カンニングの抑止力となります。

同時受験の実施

同時受験は、受験者間の情報共有や試験問題の流出などの不正行為を事前に防ぐ手段として非常に有効です。
多くの受験者が一斉に試験を実施する場合サーバーへの負荷が高まりサーバーダウンしてしまう可能性もあります。
多くの受験者がいる試験運営担当の方は事前に確認しておく必要があります。
MASTER CBT PLUSは試験開始時に設問情報を一括でダウンロードし、終了時に解答情報をアップロードする仕組みになっており、試験中はオフラインのため、理論上同時受験数の制限はありません。
試験開始時と終了時の同時アクセスについては、最大10,000名まで拡張することが可能です。

セキュリティの強化

試験中の不正アクセスにより、問題や回答情報、受験者データが流出する可能性もあります。
受験者データの保護と紛失リスクの軽減には、最新かつ強固な暗号化技術を採用することがオススメです。

MASTER CBT PLUS は問題や回答情報はすべて暗号化されており、試験中の不正アクセスを防止します。
また、受験後の結果データは試験終了時にすべて削除されるため、結果データの流出をブロックすることができます。

オンライン試験システムをうまく活用して不正行為の防止を実現しましょう


オンライン試験における替え玉受験の不正行為や替え玉受験以外の不正行為を説明していきました。
不正が発生する状況のままでは、資格試験の質の低下や企業で行う試験の場合は信用問題に関わるため、深刻な問題です。

しかし、本記事でご紹介してきたように、オンライン試験でもしっかりした体制を作ればカンニングを監視することが可能です。そしてそもそもカンニングさせない仕組みづくりが大切です。
カンニングできない仕組みは、運営上の労力削減などはもちろん受験者の人生にとっても間違いなくプラスとなります。
カンニングさせない監視体制を作るためには、ぜひイー・コミュニケーションズの​​​​​​​Remote testingをご検討ください。
ご不明の点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

組織が発展していくには、社員一人ひとりの能力を向上させることが不可欠です。 そのためにも、企業は個々のスキルアップを促す仕組み作りをする必要があります。 このメディアでは、社員教育に力を入れていきたい企業様に向けて、 教育・研修をメインに社員が成長していくための情報を発信していきます。

試験のDX化、人材教育の課題など、私たちイー・コミュニケーションズが解決します。

お電話でのお問い合わせはこちら

Copyright ©e-communications,Inc.

PAGE TOP