企業研修とは?対象・内容・方法別の種類と成功のポイントまとめ
「企業研修」を行っている企業は多いことでしょう。しかし効果的な方法を調べようとすると、いろいろな種類があって意外にわかりにくいものです。また分類の基準もさまざまですが、整理せずに語られていることも頻繁にあります。それがますます企業研修をわかりにくくしている原因にもなっています。
この記事では、分類の基準別に企業研修の種類を整理します。また企業研修の目的やポイントをまとめます。自社に必要な研修を考える参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.企業研修とは?
- 2.企業研修の目的
- 3.企業研修の分類
- 4.対象者別に見た企業研修
- 5.内容別に見た企業研修と最近のトレンド
- 5.1.➀リーダーシップ研修
- 5.2.②コンプライアンス研修
- 5.3.③ハラスメント研修
- 5.4.④ロジカルシンキング研修
- 5.5.⑤その他定番の研修
- 6.方法別に見た企業研修
- 7.企業研修を成功させるポイントとは?
- 7.1.➀課題とゴールを明確化した企画
- 7.2.②「面白い」と思われる内容
- 7.3.③受講者と目的を共有
- 7.4.④研修後のフォローなど
- 8.研修へのeラーニング活用ならイー・コミュニケーションズへご相談を
企業研修とは?
「企業研修」とは、企業が社員に業務上必要な知識やスキルを習得させることです。習得する内容は多岐にわたります。
ビジネスマナーのような業種を問わない知識や、業種特有の専門的な知識やスキルがあります。そのほか円滑な企業活動のため、コミュニケーションやリーダーシップなどのスキルもあります。
「研修」というと集団で講義を受けるというイメージがありますが、講義に限らずいろいろな方法があります。詳しくは後述します。
企業研修の目的
企業研修の目的は大きく分けて2つあります。「人材開発」と「企業開発」です。
人材開発は、従業員の知識やスキル・態度を向上させたり開発したりすることで、実務で活躍できる人材を育てることです。スポーツに例えるなら、選手としてのパフォーマンスを高めることです。
組織開発は、会社などの組織で当事者である社員自身が組織を改善していくこと、そのための支援を行うことです。人材開発は個人の能力を向上させることでしたが、組織開発は社員間の関係性や相互作用が対象となります。スポーツに例えるなら、チームワークによるチーム全体のパフォーマンス向上と言えるでしょう。
自社にどちらが必要か考えておくだけでも、ブレない研修に一歩近づきます。
企業研修の分類
企業研修には分類の基準がいくつかあります。具体的な基準は次の3つがあります。
・対象者
・内容
・方法
違う基準による分類の研修を整理せずに並べて考えると、対処や目的が混乱してあいまいになります。場合によっては自社に不要な研修をすることにもなりかねません。
それぞれの基準で分類した場合に具体的にどのような研修があるか、次に確認していきます。
対象者別に見た企業研修
対象者別に見た企業研修の種類を見ていきましょう。次の3種類に分けられます。
・新入社員研修
・中堅社員研修
・管理職研修
1つずつ具体的に確認していきます。
➀新入社員研修
「新入社員研修」は文字通り新入社員に対して行う研修です。場合によっては、入社前の内定者に研修を行う場合もあるかもしれません。
「新入社員」をさらに詳しく見ると、新卒と中途採用とに分かれます。
新卒向けの研修では、ビジネスマナーや基本的なITスキルなどビジネス上の基本的な知識・スキルを学ぶのが一般的です。期間も長い傾向があります。方法としては座学と実地を組み合わせることが多くあります。
中途採用向けの研修は、基本的なビジネスマナーなどよりも企業理念や自社のルールなど、より具体的・個別的な内容が一般的です。
新卒向けの研修は労力がかかるため教育体制が整えられず、採用が中途採用のみになる場合もあります。このように研修体制が採用状況に影響するケースもあります。
②中堅社員研修
「中堅社員研修」は、入社して一定期間経った社員が対象の研修です。中堅社員には若手と管理職の中間にあって両者をつなぐことが求められます。内容もそれに合わせたものが一般的です。リーダーシップやフォロワーシップ、調整力や積極性を身に付ける研修が広く行われています。
リーダーシップ研修は、将来の管理職候補や現在のプロジェクトリーダーとして、さらには若手の育成などのために行われます。
「フォロワーシップ」はリーダーやほかのメンバーに自発的に働きかけることです。調整力とともに、職場のパフォーマンス改善や意見の調整に必要なスキルです。
そのほか、積極性を高める研修もよく行われています。
③管理職研修
「管理職研修」は、経営陣と社員との中間にあって両者をつなぐ管理職が対象の研修です。人・チーム・労務管理・リスクマネジメントなど、各種マネジメントを学ぶ研修が中心です。
管理職には、経営理念や方針を理解して部下に伝達することや、経営陣へ業績進捗や課題を報告することが必要です。そのほか部下の育成や目標管理、能力開発なども求められます。管理職研修でそういったスキルを身に付けます。
内容別に見た企業研修と最近のトレンド
次に、内容別に見た企業研修を見ていきます。ここでは次の5種類についてまとめます。
・リーダーシップ研修
・コンプライアンス研修
・ハラスメント研修
・ロジカルシンキング研修
・その他定番の研修
研修の内容にはさまざまな種類があります。数が多すぎるため、ここでは近年トレンドとなっているものを中心に解説します。1つずつ見ていきましょう。
➀リーダーシップ研修
「リーダーシップ研修」は、リーダーシップを発揮するための考え方やスキルを身に付けることを目的とした研修です。リーダーとしての自覚やメンタル面のほか、部下の指導方法・コミュニケーション能力・問題解決能力などを学びます。
管理職や中堅社員・リーダーの適性がある社員に行うのが一般的です。それ以外の社員が受けても、自分のリーダーを理解するのに役立つというメリットがあります。
②コンプライアンス研修
「コンプライアンス研修」は近年頻繁に行われるようになっています。「コンプライアンス」はもともと「法令遵守」を意味します。しかし現在では法令にとどまらず、社内規則や取引先とのルール・倫理などを守ることも含まれます。
業種に特有の理解しておくべき法律や、個人情報の取り扱い・SNSリテラシーなど業種を問わず必要なテーマなど幅広い内容があります。自社に必要な内容を吟味して研修を実施しましょう。階層により学ぶべき範囲が異なる場合もありますが、基本的にすべての社員が対象です。
③ハラスメント研修
「ハラスメント研修」も近年重要視されている研修です。ハラスメントの種類には、パワハラ・セクハラ・モラハラのほかジェンダーハラスメントなどがあります。これらのハラスメントについて学ぶ研修です。理論的な内容よりも、日常的な職場において何がハラスメントに当たるのか・防止する方法は何か、具体的・実践的な内容が好ましいと言えます。
ハラスメントは社会的信用を大きく落としてしまうのはもちろん、被害者の仕事へのモチベーションが下がったり退職につながるというリスクもあります。行っている当事者は許容範囲内と思っていることが多いため、はっきりと意識を変える研修が求められます。
なお管理職・一般社員で注意すべきポイントに違いがあります。例えばパワハラ防止の意識づけは一般社員より管理職に必要です。階層に適した内容で行うことが大切です。
④ロジカルシンキング研修
「ロジカルシンキング研修」は、先入観抜きにものごとを論理的に判断する能力を育てる研修です。業務上のムダがなくなり、業務の効率化の実現に役立ちます。
「論理」という点では、考える技術・書く技術にもつながります。ロジカルシンキングを鍛えると、判断力に加えてコミュニケーションやビジネス文書作成にもよい影響があります。
全社員を対象に行うべき研修です。eラーニングの利用など、方法を工夫すれば少ない労力で向上が可能です。
⑤その他定番の研修
以上が近年トレンドとなっている研修でした。上記のほかには、定番の内容として次のような研修があります。
・コーチング研修
・マーケティング研修
・経理・財務
・法務
・営業ノウハウ
・語学
・ITスキル
課題解決をしたり将来的な目標を達成するために必要な研修を選んで行いましょう。
方法別に見た企業研修
次に、方法別に見た企業研修を見ていきます。まず次の2種に大別されます。
・OJT
・Off-JT
Off-JTは、さらに細かく分けることができます。それらについても分けてまとめます。いろいろな方法がありますが、主だったものを中心に解説します。
それでは1つずつ見ていきましょう。
➀OJT
「OJT」は「On the Job Training」の略称で、業務を行いながらマンツーマンで指導を受ける方法です。先輩社員や上司が指導を担当します。実務に即したスキルが身に付くというメリットがあります。
指導を受けるトレーニーは、学ぶ内容について経験が浅い状態で行うのが一般的です。
内部の社員が担当するため、外部講師を頼むようなコストはかかりません。また社内での人間関係のネットワークが強化されるという中長期的なメリットもあります。
ただし担当者の負担は増えてしまいます。経営サイドが対策を講じないと、担当者が多忙でOJTが後回しになってしまいがちです。そのほか、研修の効果が担当者の力量に左右されるという要素もあります。
②Off-JT
「Off-JT」は「Off the Job Training」の略称で、実務から離れて行う研修です。座学も実習も含みます。
Off-JTは、さらに次のような形式に分けられます。
・講義
・グループワーク
・eラーニング
それぞれの長所を活かして各形式を組み合わせると、学習効果が高まります。
内容や対象者はさまざまなパターンがあります。語学やITスキルなどのビジネススキルは全員一斉に行う場合もあります。
外部講師やeラーニングなどの形なら、指導する人材の不足や指導者の力量の差による理解度のバラつきを解決できます。ただし費用がかかるというデメリットがあります。さらに研修中は業務から離れることになるため、現場の業務負担が高まったり売上に影響するといったデメリットがあります。
講義・グループワーク・eラーニングについて、それぞれの概略も以下で確認します。
講義
講師による講義を聴いて学ぶスタイルです。Off-JTの一般的な形式だと言えるでしょう。
講義は集合・対面型が一般的です。さらに自社の社員が講師となる場合・外部講師を招く場合・外部のセミナーに申し込んで参加する場合などに分けられます。オンライン形式で配信する場合もあります。講師が話すのを聴くスタイルであれば、形式は問いません。
グループワーク
少人数のグループでやり取りするスタイルです。課せられた課題をグループで解決していくグループワークと、決められたテーマについて話し合うグループディスカッションがあります。
アウトプット・実践型の研修スタイルと言えます。問題解決力やコミュニケーション能力を向上させるのに効果的な形式です。
eラーニング
オンラインで、動画や文字ベースの教材を使って学習するスタイルです。知識を効率的・体系的に学ぶのに適しています。
知識の習得が目的なのでインプットに大別されますが、テストやレポートなどアウトプットの形を取りながら知識を身に付けていく方法もあります。アウトプット型だと学習効果が高いという研究結果もあります。
企業研修を成功させるポイントとは?
最後に、企業研修を成功させるポイントについてまとめます。具体的には次の4つのポイントがあります。
・課題とゴールを明確化した企画
・「面白い」と思われる内容
・受講者と目的を共有
・研修後のフォローなど
1つずつ確認しましょう。
➀課題とゴールを明確化した企画
研修は、課題とゴールを明確にして企画しましょう。闇雲に行うのではなく、現在の課題を認識しつつ課題を解決するゴールを設定して行うことが大切です。解決すべき課題やゴールなど狙いが定まっていると、内容がブレてしまうこともありません。
まず企画段階で課題や問題点をクリアにして、それを解決しどんな状態まで持っていくことがゴールなのかを明確にします。そのためにどのような研修が効果的かを考えて具体化していきましょう。
②「面白い」と思われる内容
興味を持たせて学習効果を高めるためにも、受講者が「面白い」と思える内容を考えましょう。自分の業務に直結する・自分事として考えられるような企画を作ります。
習得させる知識やスキルが同じでも、それを習得させる方法はいろいろ考えられます。テーマの切り口や手法にゲームを取り入れるなどの工夫をすると、高い効果が期待できます。受講者の興味を引く方法で実施することが理想的です。
③受講者と目的を共有
動機づけとして、受講者に研修の目的・目標を伝えましょう。目標を共有しておくと、受ける側もそれを意識して受講することができます。その結果、設定した目標を達成しやすくなります。
研修を始める前に伝えておく方法のほか、ゲーム性の高い研修を行った直後にそこに隠れた研修の意図・目的を伝えるという方法もあります。後者のやり方はスタートから興味を引くことができます。よいアイディアが浮かんだ場合はおすすめです。
④研修後のフォローなど
研修後のフォローも研修を成功させる重要なポイントです。やりっぱなしにせず研修した内容に継続的に触れ続けることで、理解が深まり定着します。
導入しやすいのは、研修後のアンケートやテストです。そのほか、上司や一緒に受けたメンバーとの意見交換も理解を深めるのに効果的です。
学んだ事項を活かせる業務を割り振ると理論と実践が結びつき、直接的な効果が得られます。多少失敗しても大きな学びとなります。
そのほか、定期的に学んだ内容の実践報告を行う場を設けたり、関連するニュースがあった場合にシェアするのも効果的です。
これらの施策は、学ぶのが当然という風土作りにも有益だと言えます。
研修へのeラーニング活用ならイー・コミュニケーションズへご相談を
企業研修は、分類方法によりさまざまな種類があります。対象者や目的などを明確にしてから、自社に必要な研修は何かを検討しましょう。
研修にはeラーニングの導入も効果的です。eラーニングは知識系の効率的な学習に最適な方法です。OJTで使う知識の予習や必要な予備知識の学習に役立ちます。あるいは反対に復習として、OJTで学んだ実地の知識を整理・定着するのにも活用できます。
もしもeラーニングをご検討中でしたら、私どもイー・コミュニケーションズにご相談ください。eラーニングのシステムとしては「SAKU-SAKU Testing」があり、多くの企業様にご利用いただいております。教育担当者様の声を反映し、改善を行っております。
テスト形式のアウトプットで学ぶ「テストエデュケーション」により、知識の定着に役立ちます。自社のコンテンツが作成可能なのはもちろん、ビジネス系問題が提供可能です。
マニュアルなしの簡単操作で、誰でも直感で操作することができます。あらゆる面で利便性の高いサービスだと自負しております。
ご質問がおありの場合やご興味がおありの場合は、お気軽にお問い合わせください。ページ右上の「お問い合わせ」よりご連絡いただけます。