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マタハラ行為に注意!職場で起こりうる事例を解説


職場における問題の一つとして注目されるマタハラ(マタニティハラスメント)は、妊娠・出産、そして育児を理由に女性従業員が受ける不適切な扱いや差別のことを指します。
マタハラは個人の問題にとどまらず、職場全体の雰囲気や働きやすさにも深刻な影響を及ぼしかねません。この不適切な行為が見過ごされれば、被害を受けた従業員が精神的・肉体的に大きな負担を抱えるだけでなく、最悪の場合、仕事を続けることが困難になるケースもあります。職場環境を改善し、マタハラを未然に防ぐためには、その具体的な事例を正しく知り、理解を深めることが重要です。
本記事では、マタハラとは何かや職場で起こりうる具体的な事例について解説していきます。

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目次[非表示]

  1. 1.マタハラとは何か?基本的な定義とその背景
    1. 1.1.マタハラの定義
    2. 1.2.なぜマタハラが起こるのか
    3. 1.3.パタハラとの違いを理解する
  2. 2.具体例で知る職場で見られるマタハラの事例
    1. 2.1.妊娠や出産を理由とした不適切な対応
    2. 2.2.育児休業取得への否定的な態度
    3. 2.3.業務負担や配置変更による圧迫
  3. 3.マタハラに該当しないと考えられる言動
    1. 3.1.「制度等の利用」に関する言動
    2. 3.2.「状態」に関する言動
  4. 4.マタハラが発生する要因と背景
    1. 4.1.職場での理解不足
    2. 4.2.企業の環境整備の欠如
  5. 5.具体的事例から学ぶマタハラの実情
    1. 5.1.広島県の理学療法士・降格事件(2014年・最高裁判決)
    2. 5.2.航空業界におけるマタハラ問題
    3. 5.3.大手カフェチェーン社員のマタハラ訴訟
    4. 5.4.保育園・幼稚園勤務者の事例
  6. 6.マタハラ問題が注目される理由
    1. 6.1.女性の就業率上昇
    2. 6.2.法整備と社会認識の変化
    3. 6.3.4人に1人がマタハラ経験者
  7. 7.厚生労働省が示すマタハラ防止の指針
    1. 7.1.職場全体で取り組むべき基本方針
    2. 7.2.迅速な対応と相談窓口の設置
    3. 7.3.マタハラを未然に防ぐための教育啓発
  8. 8.企業がマタハラ防止のために進めるべき取り組みとポイント
    1. 8.1.①明確な方針・ルールの策定
      1. 8.1.1.社内ポリシーの整備
      2. 8.1.2.ガイドライン・手引きの作成
    2. 8.2.②社員教育・研修の実施
      1. 8.2.1.マネジメント層・管理職向け研修
      2. 8.2.2.一般社員向け研修
    3. 8.3.③ 制度・環境整備
      1. 8.3.1.柔軟な働き方の導入
      2. 8.3.2.妊産婦への健康管理措置
      3. 8.3.3.育児休業復帰支援
    4. 8.4.④相談体制の整備・適切な対応
      1. 8.4.1.専用相談窓口・通報制度
      2. 8.4.2.相談から解決までのフロー整備
    5. 8.5.⑤ 企業文化・風土の醸成
      1. 8.5.1.経営トップのコミットメント
      2. 8.5.2.風通しの良い社内コミュニケーション
    6. 8.6.⑥モニタリングと継続的改善
      1. 8.6.1.定期的なアンケート調査
      2. 8.6.2.相談件数・対応状況の把握
  9. 9.企業でのマタハラ教育にSAKU-SAKU Testingをご活用ください

マタハラとは何か?基本的な定義とその背景

マタハラとはマタニティハラスメントの略称であり、妊娠や出産に関連して職場で経験する不当な待遇を指します。具体的には、妊娠を理由とした解雇、降格、または業務負担の増加などが挙げられます。これにより、女性が職場での立場を失ったり、キャリア形成が妨げられたりするリスクが高まります。また、マタハラは社会全体としての妊娠や出産に対する理解不足に加え、職場における昔からの慣習や偏見が背景となり発生しやすい問題といえます。職場環境がこうした不当な行為を容認しない意識をもつことが、解決に向けた第一歩です

マタハラの定義

マタハラとは、妊娠や出産、育児に関連して、雇用者や同僚から不当な扱いを受けることを指します。具体的には、妊娠を申し出た際にネガティブな反応が返ってくる場合や、育児休業の取得を理由に不利益を被る場合が該当します。
被害者は必ずしも女性だけではなく、男性であっても、育児や家事に関与することを提案した場合に不適切な対応を受けるケースがあります。
近年、男性が被害を受ける場合は、パタハラ(パタニティハラスメント)と呼ばれることが多いです。

なぜマタハラが起こるのか

マタハラの背景には、職場内での無知や偏見が大きく影響しています。多くの職場では、妊娠や出産に対する理解が不足している場合が多く、結果として不当な扱いを受けやすい環境が形成されてしまうことがあります。
また、業務の忙しさや人手不足が原因で、妊娠した人に対するプレッシャーが生じることも一因です。このような状況を改善するためには、情報提供や教育が重要となります。

パタハラとの違いを理解する

マタハラとパタハラはしばしば混同されがちですが、その内容には違いがあります。マタハラは主に妊娠や出産を経験する女性に対するハラスメントを指し、雇用環境で不利益を被る行為や発言を含むものです。
一方、パタハラとは男性が対象となり、育児に参加する男性への偏見や逆差別から不平等な扱いを受けることを特徴としています。
こうした問題の背景には、性別による固定観念や伝統的な役割分担が深く根付いており、社会全体で意識改革を進める必要があります。両者を混同せず、それぞれの課題に正しく向き合うことが重要です。

具体例で知る職場で見られるマタハラの事例

職場内ではさまざまなマタハラが行われており、具体例を理解することが重要です。
ここでは具体例を解説します。

妊娠や出産を理由とした不適切な対応

妊娠や出産を報告した際に、ネガティブな反応を受けるケースは非常に多いです。
例えば、「この時期に妊娠するなんて」といった無神経な発言は、妊娠や出産に対する理解不足や配慮の欠如を表しています。このような言動は、働く人々に不安や孤立感を与えるだけでなく、職場での信頼関係に影響を与える問題となります。
具体例としては、妊娠報告後に急に業務量が増える、必要なサポートが提供されない、あるいは不当に責任を押し付けられるなどの対応があげられます。こうした不適切な対応は、働く環境の安全性や公平性を損なう大きな課題であり、早急に改善が求められます。

育児休業取得への否定的な態度

育児休業の取得に際しては、職場の理解とサポートが不可欠です。しかし、時には「今忙しいのに休まれると困る」といった否定的な態度を示す上司や同僚がいます。
例えば、育児休業の取得を相談する際に「休む間のその仕事は誰がカバーするのか」と言ったり「休みをとるなら辞めてほしい」と言ったりすることが考えられます。このような発言は、育児休業を取得する権利を侵害するものであり、結果として働く親に対して精神的負担を強いる可能性があります。
育児を支える環境を整えるためには、職場全体での理解と共に、こうした否定的な態度を改め、育児休業の重要性やメリットを共有する取り組みが求められます。

業務負担や配置変更による圧迫

妊娠中や育児休業中の労働者に対し、無意識のうちに業務負担が増加することがあります。例えば、妊娠中の女性に対し、一方的に業務内容を変更し、適切なサポートを行わない例も報告されています。
また、復職後に不当な配置転換が行われるケースでは、心理的な圧迫感が強まるだけでなく、職場での居場所が失われる危険性が高まります。このような事例は、職場環境や業務分配の見直しを急務とさせる要因となっています。企業は、無意識に生じる不公平や問題に気づきながら、労働者個々の状況を尊重した対応が求められます。

マタハラに該当しないと考えられる言動

ここではマタハラに該当しないと考えられる言動について解説します。

「制度等の利用」に関する言動

業務体制を見直すために、上司が育児休業をいつからいつまで取得するのかを確認したり、
業務状況を考えて、上司が「次の妊婦健診はこの日を避けて調整することが可能か」と確認したり、同僚が自分の休暇との調整をする目的で、育児休業の期間を尋ね、変更を相談することは、業務上の必要性に基づく言動とされています。
ただし、変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。

「状態」に関する言動

上司・同僚が「妊婦には負担が大きいだろうから、もう少し楽な業務にかわってはどうか」と配慮したり、「つわりで体調が悪そうだから、少し休んだほうがいいのではないか」と配慮は、ハラスメントにが該当しないと考えられる言動とされています。
妊婦本人がこれまで通り業務を続けたいという意欲がある場合でも、客観的に見て妊婦の体調が悪い場合や体調に影響を及ぼしそうな場合は業務上の必要性に基づく言動となります。

マタハラが発生する要因と背景

マタハラが職場において広がる背景にはさまざまな要因があります。
ここでは、職場でマタハラを引き起こす要因を解説します。

職場での理解不足

職場での理解不足は、無意識の偏見や誤解によって、さまざまな問題を引き起こします。
例えば、妊娠や出産を機に不利益を受けることが当たり前のように考えられる環境では、労働者が安心して働けず、業務の効率や職場の士気が低下する一因となります。妊娠中の女性に対して「仕事を減らすべき」といった無意識の意見が強まると、結果として彼女たちの業務やキャリアに影響を及ぼしかねません。
こういった無理解が根付いている職場では、マタハラに対する認識が広がることが難しく、不当な扱いに対する適切な対策が講じられない状況が続く可能性があります。このような状況を放置すれば、働き手の意欲を削ぐだけでなく、長期的な組織への影響を招き、結果的に職場全体の成長にも悪影響を与えるでしょう。

企業の環境整備の欠如

個人や企業の対応不足もマタハラを生む要因の一つです。職場環境が働く人々にとって妊娠や育児についての相談をしやすい場でない場合、問題が深刻化しやすくなる傾向があります。
特に、企業側が職場で妊娠や育児に関連する制度を十分に整備していない状況では、対象者はそれらの制度を活用することに心理的な抵抗感を抱きやすいと言えます。
加えて、職場内で上司や同僚が妊娠や育児に対する理解やサポートを示さないことによって、ハラスメント行為がさらに助長される危険性があります。
このような職場の課題を踏まえ、働く人々が安心して相談や制度利用ができる環境を整えるために、企業や個人が適切な対策を講じることが求められています。

具体的事例から学ぶマタハラの実情

マタハラに関する事例は、職場での実情や問題点を明らかにする重要な参考資料となります。マタハラの問題は、ニュースでも多く取り上げられることがあり、社会的な関心の高さを示しています。
実際の事件を詳しく検討することで、無理解や無関心がどのようにマタハラを助長しているのかを知るだけでなく、職場環境や企業文化の改善についての具体的な対応策を考えるきっかけにもなります。

広島県の理学療法士・降格事件(2014年・最高裁判決)

広島県内の病院に勤務していた女性理学療法士が、妊娠を機に担当業務を軽減するように申し出たところ、職場から一方的に役職を外される形で降格されました。女性はこれを不当として訴訟を起こし、最終的に最高裁まで争われました。
争点
妊娠中の女性を降格させることが「妊娠を理由とする差別」にあたるかどうか。

裁判の経過・結論
2014年10月23日、最高裁は「妊娠・出産を理由とした不利益な取り扱いは違法」と判断し、会社側の行為は違法であると認定した。この判決は“マタハラ”という言葉が社会的に大きく認知されるきっかけとなり、企業側の対応を大きく変える重要な判例となった。

航空業界におけるマタハラ問題

航空会社の客室乗務員(CA)やグランドスタッフが、妊娠・出産・育児休業の取得に関して不利益を被ったと訴える事例が複数報じられました。
例えば、育児休業明けに希望とは異なる部署に配置転換されたり、妊娠中にもかかわらず無理なスケジュールを組まされた結果、体調を崩してしまったといったケースがあります。

特徴的な事例
①配置転換・契約条件の変更
妊娠を機に契約社員からパート勤務への変更を“選択”するよう迫られたという訴え。
②過度な業務負担
妊娠中にもかかわらず深夜や早朝シフトを強いられたり、身体に負担の大きい業務を続けさせられたことを理由とするトラブル。
③結果・影響
労働審判や訴訟に至ったケースもあり、航空業界でも就業規則を見直す動きが加速した。

大手カフェチェーン社員のマタハラ訴訟

大手カフェチェーンに勤務していた女性社員が、妊娠を理由にシフトを削減され、結果的に収入が減少したことなどを「マタハラにあたる」として訴えた事例が報じられました。会社側は「業務に支障が出るためやむを得ない対応だった」と反論しましたが、労働組合と協議の上で謝罪や補償がなされるなどの和解に至ったとされています。

争点
妊娠・出産を理由とした仕事内容や勤務時間の一方的な変更、収入の減額が正当かどうか。

社会的影響
非正規雇用の妊婦や育児中の女性が、労働条件の変更に対して異議を唱えにくい構造が浮き彫りとなった。労働組合やNPOなどが相談窓口を拡充するきっかけにもなった。

保育園・幼稚園勤務者の事例

妊娠した保育士や幼稚園教諭が園長や経営者から「妊娠するタイミングを考えてほしかった」「これから繁忙期なのに困る」などと言われ、退職を迫られたり、事実上の降格を受けたケースが報じられました。

特徴的な問題
・妊娠や出産が“自己管理不足”のようにみなされる不当な職場文化。
・人員体制が十分でない職場での、妊娠による欠員リスクへの過度な反発。
・保育業界自体が人手不足のため、会社側が労働者を「代わりが効かない」とみなしつつも、当事者本人の健康や権利には十分配慮しない状況。

社会的影響
働く女性が増えるなか、保育士や幼稚園教諭といった職業でもマタハラが起きることで「女性が長く働き続けられる環境整備の遅れ」が指摘されるようになった。

マタハラ問題が注目される理由

ここではマタハラが注目されている理由について解説します。

女性の就業率上昇

女性の就業率が上がる一方で、出産や育児と仕事の両立を巡るトラブルが増加しています。一方で、“出産=退職”という意識をもつ人がいまだにいることが、日本の少子化や労働力不足をさらに深刻化させると懸念されています。

法整備と社会認識の変化

2014年の広島県の理学療法士・降格事件の最高裁判決を契機に、「マタハラは違法な行為である」という社会的認識が大きく広まりました。
加えて、厚生労働省も「妊娠・出産を理由とする解雇などは男女雇用機会均等法違反」という立場を改めて強調し、企業にも防止策の策定を促しています。

4人に1人がマタハラ経験者

厚生労働省が公表した「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「 あなたは過去5年間のうち妊娠をしてから産前産後休業を取得して休業するまでの期間に、勤務する(していた)職場で/産後休業や育児休業等から職場復帰した後に勤務する(していた)職場で、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントまたは不利益取扱いを受けたことがありますか」という質問に対し、過去5年間に就業中に妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は26.1%となりました。およそ4人に1人の割合でマタハラを受けた経験があることが分かります。
また、経験頻度としては、「時々」(54.4%)が最も多い結果でした。
多くの人がいまだマタハラの被害者であることからも、マタハラは注目されています。

厚生労働省が示すマタハラ防止の指針

厚生労働省は、マタハラを防止するための具体的な指針(「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」)を示しており、それに基づく取り組みが企業に求められています。この指針を活用することで、職場での妊娠や出産を巡る問題に関する理解を深め、適切な対応を行うことが可能です。
ここでは、具体的なマタハラ防止指針を見ていきます。

職場全体で取り組むべき基本方針

職場でのマタハラ防止には、全従業員の理解と協力が不可欠です。
基本方針として、妊娠や育児に対する理解を促進することが挙げられます。また、就業規則の見直しも重要です。
具体的には、ハラスメントに関する明確な禁止規定を参加者全員に周知し、意識向上を図ると同時に、経営層からの積極的なコミュニケーションが求められます。
全員がマタハラをしてはいけないという意識をもつことで、より良い職場環境が実現します。

迅速な対応と相談窓口の設置

マタハラが発生した際には、職場での迅速な対応が求められます。そのためには、相談窓口の設置が職場環境の改善において非常に重要です。
職場において従業員が安心して相談できる場所を設けることにより、問題の早期発見と解決が可能になります。相談窓口では、適切な知識をもった担当者が対応し、従業員のプライバシーが守られるよう個人情報の保護にも十分配慮する必要があります。
迅速な対応によって、被害者の精神的な負担を軽減するだけでなく、職場での再発防止に向けたデータ収集や分析にも役立つでしょう。

マタハラを未然に防ぐための教育啓発

マタハラを未然に防ぐためには、教育啓発活動が重要な役割を果たします。
定期的な研修やセミナーを通じて、妊娠や育児に関する正しい知識を拡充させることが求められます。特に、ハラスメントの実態について説明し、その影響を理解させることで、無意識のうちに行われる不適切な行動を是正する工夫が必要です。
また、企業や社会全体におけるマタハラのケースや関連ニュースを取り上げることで、問題意識を高めるきっかけを提供することが効果的です。

企業がマタハラ防止のために進めるべき取り組みとポイント

企業がマタハラを防止し、妊娠・出産・育児期の従業員が安心して働ける環境を整備するためには、以下のような取り組みを体系的かつ継続的に進めることが重要です。
ここでは、ポイントを整理してご紹介します。

①明確な方針・ルールの策定

社内ポリシーの整備

〇マタハラ防止規定の明文化
就業規則やハラスメント防止規程において、「妊娠・出産・育児休業等を理由とする差別的取扱いや嫌がらせを禁止する」旨を明確に示す。

〇違反行為への対応方針
違反が認められた場合の処分内容や再発防止策を明文化する。

ガイドライン・手引きの作成

〇具体例の提示
どのような言動・行為がマタハラに該当するのか、従業員に分かりやすく説明したガイドラインを作成・配布する。

〇手続きの流れ
妊娠・出産・育児休暇取得の申請方法、勤務時間短縮制度の利用方法など、制度を利用する際の手続きをまとめた手引きを整備する。

②社員教育・研修の実施

マネジメント層・管理職向け研修

〇法令・ルールの理解
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの関連法令に加え、社内ポリシーの正しい理解を促す。

〇具体的な対応事例・ケーススタディ
妊娠中の従業員への配慮や育児休業復帰後の業務調整など、想定される場面ごとの適切な対応を演習形式で学ぶ。

一般社員向け研修

〇ハラスメントの基本知識
セクハラ・パワハラ・マタハラの概念と禁止事項を総合的に伝える。

〇相談先の周知
社内外の相談窓口の連絡先や利用方法を定期的に周知し、“困ったら相談できる”風土づくりに繋げる。

③ 制度・環境整備

柔軟な働き方の導入

〇フレックス勤務・在宅勤務(リモートワーク)の活用
妊娠中や育児中でも、通勤や就業負担を減らせるよう勤務形態の柔軟化を検討する。

〇時短勤務・スライド勤務制度
育児期や妊娠中の体調不良などに対応できるよう、日々の始業・終業時間を調整しやすい仕組みを整える。

妊産婦への健康管理措置

〇母性健康管理指導事項連絡カードの活用(日本の場合)
産婦人科医等の指導を適切に企業へ伝え、必要な措置(業務軽減・休憩時間の確保など)を講じる体制を整える。

〇担当業務の調整
妊娠中の体調に配慮し、休憩や通院しやすい勤務スケジュールを組む。

育児休業復帰支援

〇事前面談・復帰プランの策定
復職前に上司や人事担当者と面談し、業務内容や働き方の希望をすり合わせる。

〇ジョブリターン制度・フォロー体制
育休から復帰後のキャリア形成を支援する研修やフォローアップを用意する。

④相談体制の整備・適切な対応

専用相談窓口・通報制度

〇複数の窓口設定
社内の人事・労務部門、信頼できる外部相談機関の両方を活用できるようにしておく。

〇秘密保持と迅速な対応
相談者のプライバシーを最大限に保護し、トラブルが生じた場合は素早く事実関係を確認して対処する。

相談から解決までのフロー整備

〇苦情処理手順の明文化
相談が寄せられた場合の調査手順、判定や処分のプロセスを明確化する。

〇再発防止策の周知
事案が発生した場合は、社内報や研修を通じて同様の問題が起きないよう周知・啓発する。

⑤ 企業文化・風土の醸成

経営トップのコミットメント

〇トップメッセージの発信
経営者や役員がマタハラ防止を重要施策と位置づけ、継続的にメッセージを発信する。

〇企業理念・ビジョンとの連携
ダイバーシティ推進や女性活躍推進の観点から、マタハラ防止を経営戦略と結び付ける。

風通しの良い社内コミュニケーション

〇小規模ミーティングやヒアリングの実施
部署単位での意見交換や、本音を話しやすい場を定期的に設ける。

〇上司・同僚の協力体制
妊娠・育児を経験する社員を周囲が自然にサポートできるよう、情報共有やフォロー文化を育む。

⑥モニタリングと継続的改善

定期的なアンケート調査

〇従業員満足度やハラスメントに関する調査
匿名形式で妊娠・出産・育児休業の取得や復職体験に関する満足度、ハラスメントの有無を把握する。

〇結果のフィードバックと対策
結果を分析し、課題があれば早急に改善策を実行する。

相談件数・対応状況の把握

〇経営層への定期報告
どの程度のマタハラ相談が発生し、どのように対応したかをまとめ、改善策を検討する。

〇ベンチマークとの比較
同業他社との取り組み事例や公的機関のガイドラインを参照し、企業としての対応を進化させる。

妊娠・出産・育児の各フェーズで従業員をサポートすることは、企業にとっても人材確保や生産性向上に繋がる重要な戦略です。マタハラを防ぎ、誰もが安心して働ける環境を整えるために、上記のポイントを組み合わせながら総合的に取り組むことが求められます。

企業全体でマタハラをはじめとするあらゆる種類のハラスメントを根本から排除するための努力を継続的に行うことにより、男性も女性も等しく安心して働ける職場づくりを実現することが可能です。

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