絶対値・相対値とは?違いをわかりやすく解説!
絶対評価や相対評価という言葉を耳にしたことがある人事担当者は多いと思います。
では、そもそも絶対値や相対値とは何でしょうか。2つの言葉の意味や違いを理解することは、人材を客観的かつ公平に評価するためにも大切です。
本記事では、絶対評価と相対評価のメリットとデメリットを交えながら、両者の違いをわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.絶対値とは
- 2.相対値とは
- 3.絶対評価と相対評価の違い
- 4.絶対評価のメリット・デメリット
- 4.1.絶対評価のメリット
- 4.1.1.明確な基準に基づく評価ができる
- 4.1.2.公平性が確保できる
- 4.1.3.個人の成長につながる
- 4.2.絶対評価のデメリット
- 4.2.1.評価の差をつけにくい
- 4.2.2.数値化が難しい項目の評価基準の明確化が難しい
- 5.相対評価のメリット・デメリット
- 5.1.相対評価のメリット
- 5.1.1.評価の差をつけやすい
- 5.1.2.自己向上を促進できる
- 5.1.3.リソースを効率的に配分できる
- 5.2.相対評価のデメリット
- 5.2.1.評価が所属によって変わってくる
- 5.2.2.個人の成長を評価するのには向かない
- 5.2.3.評価の理由を明確に明示できない
- 5.2.4.チームワークを阻害する可能性がある
- 6.絶対評価が適する場面
- 6.1.個人の能力を評価したいとき
- 6.2.従業員のモチベーションを高めたい場合
- 6.3.各自が独立して仕事をしている場合
- 7.相対評価が適する場面
- 7.1.チームやグループの評価をしたいとき
- 7.2.成果や目標の定量化が難しい場合
- 7.3.チーム内の階層がフラットな場合
- 8.社員の評価をする社内試験にイー・コミュニケーションズのCBTをご活用ください
絶対値とは
絶対値は、数学における基本概念の一つです。任意の数値の大小を正の数で表す方法です。数直線上で、ゼロからの距離、つまり原点からの絶対的な距離として理解されます(下図参照)。
絶対値では負の数も正の数として扱われ、数値の正負にかかわらず一貫した大きさを測定できます。
教育や人事の評価システムでは、絶対値の概念が重要な役割を果たします。
従業員や学生の成績、能力、実績などを評価する際、絶対評価として用いられます。絶対評価では、事前に定められた基準や目標に対し、個々の成果をどの程度達成しているかを測ります。これにより、各個人の特性や能力を他者との比較ではなく、客観的かつ公平な基準で評価することができます。
企業では、従業員の業績評価や能力開発で絶対評価が使われることがあります。従業員一人ひとりに対し、業績水準や能力向上に関する具体的な目標が設定され、その達成度を絶対値で測定します。
これにより、公正かつ透明性の高い評価が可能になり、個人の成長を促すことができます。
相対値とは
相対値とは何かと何かを比較した時にわかる値です。個人の能力や成績を集団全体と比較して定める方法です。
この比較により人がグループ内でどのような位置にいるかが明確になります。
特に教育や人事評価の分野で広く採用されています。具体的には生徒の学力試験のスコアや社員の業績を同じ集団内の他者と比較して評価します。これにより個人の成績や業績を単に数値としてではなく集団内での相対的な優位性や位置づけをもとに理解することが可能になります。
企業において人事評価で相対値を用いる場合、従業員のパフォーマンスを相対的に評価することで公平かつ合理的な人事管理を目指します。
例えば営業成績や業務達成度などを全社員または同じ部門内の他の社員と比較しそれぞれの位置を決定します。この方法は個人の努力や成果を正確に反映させる一方で、評価が他者との比較に基づくため競争を助長するといった批判もあります。実際に過度な競争心はチームワークの妨げになることもあるため、相対評価を適用する際にはそのバランスを慎重に考慮する必要があります。
さらに相対値の評価では全体の分布を把握することが重要です。なぜなら評価する集団のレベルが全体的に高いか低いかによって個々の評価結果に大きな差が生じる可能性があるからです。そのため相対値に基づく評価を行う際は、集団全体のレベルも考慮に入れ、公平性と透明性を確保するための工夫が求められます。
絶対評価と相対評価の違い
これまで絶対値・相対値、絶対評価や相対評価について解説してきました。
ここでは、両者の具体的な違いについて説明します。
絶対値は何かと比較をせずに個別に値をとることができるものです。相対値は何かと何かを比較して値をとるため、比較するものがないと値をとることができません。
そのため、絶対評価は個々の成績や能力を固定の基準や指標で評価するものです。
対照的に、相対評価は他者との比較で位置づけを行います。
絶対評価では、各個人が定められた基準をどれだけ満たしているかで評価され、客観的な基準により公平性が保たれます。
一方、相対評価では個人の成績が集団内の相対的な位置で決定されるため、競争意識が働きやすい環境を作ることができます。
絶対評価のメリット・デメリット
ここでは、絶対評価のメリットとデメリットについて解説します。
絶対評価のメリット
絶対評価のメリットは3つあります。具体的にみていきましょう。
明確な基準に基づく評価ができる
絶対評価は事前に設定された明確な基準や目標をもとに個人の成果や行動を評価します。
目標達成の程度を正確に評価でき、個人の可能性や努力を直接評価することができます。
公平性が確保できる
絶対評価は、設定された評価基準をもとに評価されるため、評価者の主観が入りにくいため、各個人の能力や努力を公正に評価することができます。
個人の成長につながる
絶対評価は、従業員の成果や行動があらかじめ設定された基準や目標に対してどの程度当てはまるかを評価する方法です。この評価方法では、個々の長所や改善点が明確になり、それに基づいて具体的なフィードバックをすることが可能です。
さらに、従業員は自己の成長や目標達成のための方向性を具体的にすることができ、モチベーションの向上につながります。
絶対評価のデメリット
絶対評価のデメリットは2つあります。具体的にみていきましょう。
評価の差をつけにくい
絶対評価では、全員が共通の基準に基づいて評価されるため、組織やグループ内での評価の差をつけにくい傾向にあります。
他者との比較によって評価をする相対評価に比べると、個人間の評価の差がつきにくくなります。
数値化が難しい項目の評価基準の明確化が難しい
絶対評価は個人の成果や能力をあらかじめ定義された基準で評価する方法であるため、コミュニケーション能力や積極性、自主性といった数値化しにくいものの評価基準を明確にするのが難しいというデメリットがあります。
相対評価のメリット・デメリット
ここでは相対評価のメリットとデメリットを解説していきます。
相対評価のメリット
相対評価のメリットは3つあります。具体的にみていきましょう。
評価の差をつけやすい
相対評価は個々の成績をグループ全体の成果と比較して評価します。そのため、グループ内でのパフォーマンスのランキングを明確にし、評価の差がつけやすくなります。
明確な比較基準に基づき、成績の良い個人やチームを容易に識別でき、競争意識を高めることができます。
自己向上を促進できる
個人のパフォーマンスを他者と比較して評価するため、社員は自分の立ち位置を相対的に知ることができます。そのため、より良い位置を目指して自己向上のモチベーションが高まります。また、競争を促進することで個人の成長や技能の向上につながる可能性があります。
リソースを効率的に配分できる
相対評価では、個々の人材や部署を相互比較し、その成果や貢献度に応じてリソースを配分します。
成果が高い人材や部署に対して報酬やリソースを優先的に配分することで、モチベーションの向上と効率的なリソース利用が期待できます。
相対評価のデメリット
相対評価のデメリットは4つあります。具体的にみていきましょう。
評価が所属によって変わってくる
相対評価は所属するグループによって評価が大きく変わる可能性があり、これによって不公平感を生じさせるリスクがあります。
相対評価は、所属するグループ内での個人の位置づけやパフォーマンスを比較しランク付けする方法であるため、グループ間での能力差は評価に反映されず、高い能力をもつ人が集まるグループ内で個人が不当に低い評価を受ける可能性があります。
個人の成長を評価するのには向かない
相対評価は、個人の成績やパフォーマンスをグループ内の他の人と比較し、特定の集団内での相対的な位置を明確にしますが、個人の成長や努力を正確に把握し評価するには適していません。
すべての従業員が平均以上の努力をしていても、一部の人が低い評価を受ける可能性があり、個人の成長を軽視することになります。
相対評価は競争心を促進し、短期的な成果を追求する環境を生み出しますが、長期的な成長や能力開発、自己実現の機会を減少させる恐れがあるため注意が必要です。
評価の理由を明確に明示できない
相対評価では、評価基準が不透明になりがちです。
個人の能力や成果を集団内での相対的な位置づけによって評価するため、評価理由が明確でないことが少なくありません。
これは、評価基準が集団の成績や能力の分布に依存するため、具体的な目標や基準を提示しにくいからです。
相対評価を用いると、個人の能力向上や成果を集団の平均や偏差値と比較して捉えがちで、具体的な評価基準が見えにくくなります。
チームワークを阻害する可能性がある
相対評価は、個人の成績を他者と比較するため、個人間の競争が促進されます。一見、これは高い成果を上げるためのモチベーションとなるように思えますが、チームワークなどを引き起こす可能性があります。
相対評価を導入すると、個人がチーム内で優位に立とうと、自己中心的な行動を取りがちになり、これがチーム内の協力関係の構築を阻害します。
さらに、個々人が自身の成績を他者と比較することが常態化すると、組織全体の士気が低下し、結果として組織の成果にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
絶対評価が適する場面
絶対評価が適している場面を具体的に3つ解説します。
個人の能力を評価したいとき
絶対評価は一定の基準や目標をもとに個人のスキルや成果を判断する手法で、各人が特定のスキルセットをどの程度習得しているかを具体的に評価できます。
この評価方法の最大のポイントは、各人の学習進捗や成長を客観的かつ明確に把握できることにあります。個人の能力を純粋に評価したいときは、絶対評価が適しています。
従業員のモチベーションを高めたい場合
絶対評価は、チームや部署のメンバーと比較せずに、あらかじめ定められた基準をもとに一人ひとり評価されるため、各自の頑張りが評価される傾向にあります。
そのため、目標に対してできていない部分を達成するために努力をするなど、従業員の仕事に対するモチベーションを高めることができます。
各自が独立して仕事をしている場合
プロジェクトごとにチームが組まれる職場やフリーランスのように、各自が独立して業務を遂行する環境では、絶対評価のメリットが特に際立ちます。
各自が独立して仕事をする場合、自分自身の専門性や成長が重視されるべきであり、絶対評価はそれを支援する最適な評価法といえます。
個々の能力や成果に焦点を当てることで、その人なりの専門性や独自の貢献を認識しやすくなり、個人のモチベーション向上やスキルアップにつながります。
相対評価が適する場面
相対評価が適している場面を具体的に3つ解説します。
チームやグループの評価をしたいとき
相対評価は、特にチーム内での相対的な貢献度や協力の程度を重視する場合にメリットがあります。相対評価を活用することで、チームの一体感や協調性を高めることが期待できます。チームメンバーが互いに支え合い、切磋琢磨する文化を育てるためには、相対的な視点での評価が効果的です。
成果や目標の定量化が難しい場合
絶対評価を用いると、個人が目標に到達したかを明確に判断できますが、成果の計測が難しいプロジェクトや職種では適用しにくい側面があります。
個人が異なる状況下で作業している場合、一律の基準で評価すると不公平感が生じる可能性があります。
相対評価は、個々の成果を周囲の成果と比較することで、相対的な貢献度や効果を測ることができ、成果の定量化が難しい環境でも公平でバランスの取れた評価を実現できます。
チーム内の階層がフラットな場合
組織内の階層構造がフラットで、明確な上下関係が存在しない場合やチームメンバーの能力に偏りが少ない場合は相対評価が有効です。
このような環境では、平等な立場にあるメンバー間の貢献度やパフォーマンスを公正に比較・評価することが可能となり、その結果、公平性を保ちながらチーム全員のモチベーションを向上させることができます。
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