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パフォーマンス評価とは?メリット・デメリットと導入の方法まとめ

教育現場で活用されている「パフォーマンス評価」という手法がビジネスでも注目されつつあります。もともと教育に関わる手法だけあり、目標管理・人材育成に活用できるほか、人事評価にも役立てることもできます。
 
この記事では、パフォーマンス評価についてまとめます。企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.「パフォーマンス評価」とは
  2. 2.パフォーマンスを評価するということ
  3. 3.「パフォーマンス評価」という言葉の整理
    1. 3.1.「パフォーマンス評価」➀活動を評価する方法
    2. 3.2.「パフォーマンス評価」②パフォーマンスマネジメントの一部
    3. 3.3.「パフォーマンス評価」③その他(ISO・投資信託)
  4. 4.パフォーマンス評価のメリット
    1. 4.1.➀詳細・公平な評価が可能になる
    2. 4.2.②フィードバックが容易になる
    3. 4.3.③パフォーマンスの向上が図りやすくなる
  5. 5.パフォーマンス評価のデメリット
    1. 5.1.➀評価基準を作るのに労力と時間がかかる
    2. 5.2.②パフォーマンスごとに基準表を作成する必要がある
    3. 5.3.③主体性を奪う可能性がある
  6. 6.「本質的な問い」と「永続的な理解」
  7. 7.パフォーマンス評価とルーブリック表
  8. 8.ルーブリック表の作り方
    1. 8.1.➀目的の明確化
    2. 8.2.②必要要素のリスト化
    3. 8.3.③評価観点ごとにまとめる
    4. 8.4.④評価尺度と評価基準の設定
  9. 9.社員の能力向上の学習なら​​​​​​​イー・コミュニケーションズにご相談を

「パフォーマンス評価」とは

「パフォーマンス評価」は知識や技術を実際に使う能力を評価するための方法です。フィギュアスケートの技術点の採点に似ている方法です。演技を評価基準に沿って評価するように、行動に現れる能力を評価します。
 
学校など教育の場面で始まり、今も広がっている手法です。「探求学習」と呼ばれる、自分で課題を設定して情報を集めたり意見を聞いたりしながら進める学習を評価するときによく用いられています。
 
学習の前に目標を示し、学習後に達成度を測るのが本来のやり方です。もともとは目標と評価を学習につなげて効果を高めることを目的としています。ペーパーテストでは測れない点が評価できる多角的な評価方法の1つです。
 
医療の世界や企業など、学校以外の場でも人事評価の一環としてパフォーマンス評価を導入する例が出てきました。

パフォーマンスを評価するということ

ビジネスの世界で「パフォーマンス」は、「性能」「成果」「価値」といった意味で使われます。もともと行為にかかわる語なので、行為・行動にかかわるイメージも含まれています。
 
企業活動の文脈で「パフォーマンスを評価する」と言った場合、サービスや製品の性能・価値を評価することもありますが、主に社員の行動や成果について指すのが一般的です。社員のパフォーマンスの評価を指している場合は、社員の仕事ぶり・成果につながる行動・行動によって得られた成果などを評価するというようなことを意味しています。


「パフォーマンス評価」という言葉の整理

ここで、「パフォーマンス評価」という言葉の意味を整理します。ビジネスなどの世界に限っても、「パフォーマンス評価」という語がいろいろな意味・別の内容を指すものとして使われる場合があるからです。ほかの意味を表す「パフォーマンス評価」にはどのようなものがあるかまとめます。
 
活動を評価する方法
パフォーマンスマネジメントの一部
その他(ISO・投資信託)
 
1つずつ見ていきましょう。            

「パフォーマンス評価」➀活動を評価する方法

まず初めに述べたような、活動・行動を評価する方法という意味の「パフォーマンス評価」があります。この記事で説明するのはこの意味・内容の「パフォーマンス評価」です。        

「パフォーマンス評価」②パフォーマンスマネジメントの一部

紛らわしいのですが、「パフォーマンスマネジメント」の一部に「パフォーマンス評価」という要素があります。欧米型のマネジメントの紹介などで見かける「パフォーマンス評価」です。
 
「パフォーマンスマネジメント」は、短い期間のパフォーマンスを管理する考え方です。管理する過程にパフォーマンスを評価するステップがあり、それを「パフォーマンス評価」と呼んでいることがあります。評価のための面談を「パフォーマンス評価」と呼んでいる場合もあります。
 
こちらの「パフォーマンス評価」は手法も少し違います。目標達成のためのフィードバックを短い間隔で行っていきます。

「パフォーマンス評価」③その他(ISO・投資信託)

そのほか、ISOのマネジメントシステムの一部に「パフォーマンス評価」があります。自社の業務がうまく機能しているかを確認するシステムの中で、PDCAのCに当たる部分です。「ルールが守られているかどうか」「効果が出ているかどうか」「もっとよい方法がないかどうか」を確認することです。
 
そのほか投資信託の分野でも「パフォーマンス評価」があり、運用成績を客観的に測定することを意味しています。


パフォーマンス評価のメリット

パフォーマンス評価のメリットについてまとめます。以下の3点があります。
 
詳細・公平な評価が可能になる
フィードバックが容易になる
パフォーマンスの向上が図りやすくなる
 
1つずつ見ていきます。

➀詳細・公平な評価が可能になる

パフォーマンス評価により、詳細・公平な評価が可能になります。
 
パフォーマンス評価では、1つの課題を評価するときに課題を複数の側面に分けます。そしてそれぞれについて達成度を評価します。たとえば「プレゼンテーション」という課題なら、「資料」「発表内容」「発表構成」「発表技術」などの項目に分けます。
 
また達成度は、言葉で説明された尺度と比較して判定します。先のプレゼンテーションの例では、各項目についてS・A・B・Cなどの達成度に分け、それぞれの基準を行動ベースの文章で記述します。
 
項目・達成度別に基準が示されるため、詳細かつ公平な評価が可能となります。

②フィードバックが容易になる

パフォーマンス評価を行うと、評価される社員へのフィードバックが容易になります。
 
パフォーマンス全体の達成度だけでなく、細分化された項目(内容)別の達成度が可視化されます。メリット➀で見た通りです。そのため、改善点や課題が細かく把握できます。
 
その結果、本人も改善点を理解しやすくなり、上司もアドバイスするのが容易になります。フィードバックをする側・される側とも納得感を持つことができます。

③パフォーマンスの向上が図りやすくなる

パフォーマンス評価の結果、パフォーマンスの向上が図りやすくなります。メリット②で見たように、課題が可視化され対処しやすくなるからです。
 
またパフォーマンス評価は、知識など抽象的なものでなく具体的なパフォーマンスをベースに評価します。そういった点からも、課題が明確になり改善点がわかりやすいという側面があります。
 
ただの評価に終わらず、パフォーマンスの改善・向上に役立ちます。


パフォーマンス評価のデメリット

次に、パフォーマンス評価のデメリットについてまとめます。以下の3点があります。
 
評価基準を作るのに労力と時間がかかる
パフォーマンスごとに基準表を作成する必要がある
主体性を奪う可能性がある
 
導入までたどり着けばメリットが多い手法なのですが、導入までのハードルがやや高いのがデメリットです。1つずつ見ていきましょう。

➀評価基準を作るのに労力と時間がかかる

パフォーマンス評価は、評価基準をつくるのに労力と時間がかかります。メリットの項で詳細な評価が可能と言いましたが、そのためには詳細な基準を準備する必要があります。パフォーマンスを項目別に細分化し、それぞれの達成度を言葉で表現しなくてはなりません。
 
先にも挙げた例をもとに考えましょう。パフォーマンス「プレゼンテーション」を項目「資料」「発表内容」「発表構成」「発表技術」の4つの項目に分けてS・A・B・Cの4段階で評価するとします。
 
この場合、4つの項目に対してそれぞれ4段階の評価があり、達成度を表現した文章が計16個必要ということになります。項目や段階が増えればさらに数が増えます。
 
自社に合わせて項目の立て方や評価の段階を決める必要があり、テンプレートがあってもそのまま流用できない場合も多くあります。また文章も評価しやすいよう工夫する必要があります。

②パフォーマンスごとに基準表を作成する必要がある

さらに、基準表はパフォーマンスごとに必要です。
 
1つのパフォーマンスを4項目に分けて4段階で評価するなら、16の基準を言語化する必要がありました。もしもパフォーマンスが20種類あるなら16の基準が20種類分必要となり、合計320の基準を言語化することになります。
 
多数の部署の分の基準表をつくる場合、それぞれの部署の協力も必要です。さらに達成度合い・難易度の統一など内容の調整をする必要も出てきます。評価結果を処遇の決定に活用するときの不公平さをなくす必要があるからです。

③主体性を奪う可能性がある

パフォーマンス評価は、主体性を奪う可能性があります。これは運用を開始してからのデメリット・注意点です。
 
本来の評価方法に則って目標を初めに示す場合、評価される側が目標となっている項目だけ努力して、ほかは後回しにしたり無視したりするという可能性があります。結果的に主体性や自発性が損なわれる可能性があります。
 
ただし評価の基準を作る場合は、この問題が必ず生じます。パフォーマンス評価特有の問題ではありません。

「本質的な問い」と「永続的な理解」

パフォーマンス評価には、「本質的な問い」と「永続的な理解」という重要な要素があります。
 
「本質的な問い」とは、内容理解や探求を促す問いのことです。ビジネスでの評価では、そのパフォーマンスが必要となる理由は何か?という問いです。その問いの答えはそのパフォーマンスを行う目的となります。
 
「永続的な理解」は、詳細を忘れた後でも身に付けておいてほしいような重要な理解のことです。ビジネスでは、身に付けた能力を活用し続けられることです。
 
両者は、よく自動車教習所や運転技術に例えられます。自動車教習所・運転技術で言えば、本質的な問いは運転するためのスキルです。永続的な理解は、ペーパードライバーにならずいつでも運転できる能力を活用できる状態です。
 
運転する技術をいつまでも保持できるような教育を教習所で施します。企業でも、業務に役立つスキルをずっと使えるようにパフォーマンス評価を活用します。


パフォーマンス評価とルーブリック表

実際にパフォーマンス評価を行う際は、基準をマトリクス形式でまとめた「ルーブリック表」を使います。先述したことにも重なりますが、ルーブリック表はパフォーマンス別に作成します。
 
縦軸にパフォーマンスを細分化した項目を、横軸に評価尺度を取ります。それぞれのマスに、該当の項目で求められる行動を文章で記入します。


ルーブリック表の作り方

ルーブリック表の具体的な作り方をまとめます。以下の手順で行います。
 
目的の明確化
必要要素のリスト化
評価観点ごとにまとめる
評価尺度と評価基準の設定
 
順に見ていきましょう。        

➀目的の明確化

初めに、課題(=業務内容)の目的を明確にします。なぜその課題が必要なのか?という理由を確実に理解しましょう。先ほどの「本質的な問い」です。また、パフォーマンス評価を行うことそのものの理由や目的も明確にしましょう。
 
ここで明確にした目的によって、設定すべき項目も決まってきます。業務内容はもちろんですが、パフォーマンス評価を行う目的も同様です。たとえば育成にも活用したいなら難易度の高い課題も表を作成すべきということになります。

②必要要素のリスト化

次に、課題の具体的な内容と達成してほしい内容を棚卸のうえリスト化します。
 
ここで書き出す内容が評価の尺度になります。達成している状態だけでなく、達成に至るまでの段階も含めます。まずはとにかく数を多く出すことを意識しましょう。
 
内容は、学習者に期待すること・必要なスキル・最高の水準と最低の水準などをイメージすると思いつきやすくなります。また、実際にその業務を行っている社員をイメージしてもよいでしょう。
 
書き出した内容を要約・整理・統合してリストにまとめます。

③評価観点ごとにまとめる

必要要素のリストを、共通する業務に分けてグループ化・整理します。
 
グループに付ける名前が評価観点(評価項目)、個々の要素が評価基準となります。たとえば課題が「プレゼンテーション」なら、「自己紹介をする」「アイスブレイクを入れる」「配布資料を確認する」などをグループ化して「導入」とまとめるなどです。
 
評価観点へのまとめ方はいろいろなパターンが考えられます。上記のプレゼンテーションの例でも、「アイスブレイクを入れる」を「目を合わせながら話す」「質問がないか確認する」などとグループ化して「コミュニケーション」とすることもできます。

④評価尺度と評価基準の設定

最後に、評価基準ごとの尺度を決めていき完成させます。
 
まず尺度を何段階にするかを決めます。研修など教育に活用されてきた経緯があるため、基準は教育後の達成度として示されることが多くあります。たとえば「理想の達成度」「及第点」「要再学習」を基本に、理想と及第点の間や及第点と要再学習の間の段階をプラスします。
 
また尺度の表現について、1〜4などの数字、A~Cなどのアルファベット、◎〇△×など記号、優・良・再学習など言葉があります。どれで表現するかも決定します。
 
さらに、段階ごとの達成内容を決めます。プレゼンテーションの「質問がないか確認する」という項目なら、「随時確認する」から「確認しない」までの間で、段階ごとに設定します。「アイスブレイクを入れる」のように難易度が高い項目は、高いランクでのみ「入れる」を条件とするのが適切かもしれません。


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パフォーマンス評価は、評価にとどまらずパフォーマンス向上のきっかけとして活用ができるものです。導入した暁には、社員のパフォーマンス向上に役立てることが大きなプラスとなります。むしろ活用しないと機会損失になると言えるかもしれません。
 
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